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中小企業診断士制度が見直しへ!ポイントをサクッと解説

経済産業省・中小企業庁は、中小企業診断士制度の見直しに乗り出す。経営を担う専門職としての価値を高めるため、1次試験合格者や更新研修の受講者に対して新たに名称を付与する。ITや事業承継など診断士としての強みを伸ばせるようにするため、更新時の対面による実務研修についてオンラインでの実施も検討を進める。

1次試験合格者への名称付与は2021年度の試験の合格者から導入する方向で検討する。1次試験で求められる7科目のうち、経済学や財務などの科目合格者に対して対外的に示せる名称を与える。数年がかりで1次試験合格を目指す受験者も多く、身につけた専門知識を示すだけでなく途中で断念しない意欲づけにもつなげる。

合格後、5年ごとに求められる更新研修のうち専門知識の習得に関する研修を終えた受講者にも同様に名称の付与を検討している。IT、事業承継、企業再生など各診断士が得意とする分野の専門性を高める仕組みとして制度設計を進める。

更新研修での受講の利便性を高めるため、コロナ禍への対応から20年度から実施しているオンライン方式での理論政策更新研修を専門知識を習得する研修でも導入を検討する。オンラインによる実施で受講者の費用や時間などの負担を減らし、講師が得意とする分野の研修を受けやすい環境を整備する。

見直しは20年10月の経済財政諮問会議で有識者が提案し、所管する企業庁が検討を進めていた。試験科目の多さや1次試験で2―3割の合格率などに対して専門職として対外的に示す材料が少なく、他の士業と比べて独立開業する割合が低い課題もあった。

企業庁によると全国で約2万8000人が診断士として登録しているが、6―7割ほどが首都圏を中心に拠点に活動している。都道府県によっては数十人しかいない地域もあり、地域間で人材が偏在している課題もある。診断士に求められる専門性が高まっている現状に対し、企業内診断士と独立診断士の双方に「お墨付き」を与えることで、診断士の活躍できる領域拡大を図る。


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日刊工業新聞2021年3月30日

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