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6インチ「SiCパワー半導体」、富士電機が青森で量産開始

6インチ「SiCパワー半導体」、富士電機が青森で量産開始

拡大するSiCパワー半導体の需要に対応する(富士電機津軽セミコンダクタ)

富士電機は青森県の半導体製造拠点で6インチの炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の本格的な量産を12月から始めた。当面、国内の自動車メーカー向けとなる。当初は今夏ごろの本格量産を目指していたが、電気自動車(EV)の世界的な販売落ち込みに伴う需要の減少により、延びていた。今後、長野県でもSiCパワー半導体の生産能力を拡充する。車載や産業用に拡大する需要に応えていく。

本格的な量産を始めたのは、富士電機子会社で半導体製造拠点の富士電機津軽セミコンダクタ(青森県五所川原市)。従来のシリコン(Si)パワー半導体に加え、2022年にはEVなど拡大する電動車向けの需要に対応するため、SiCパワー半導体増産に向けた設備投資を行うことを発表。生産設備の導入などを進めていた。

富士電機では同社の松本工場(長野県松本市)でSiに加え、車載向けや鉄道など産業用途向けにSiCパワー半導体を生産している。24年12月にはパワー半導体の生産体制を強化するため、デンソーとの協業を発表しており、27年5月をめどに同工場でSiCパワー半導体の生産設備などを拡充し、量産する計画だ。

従来のSiより高電圧や電力変換効率に優れたSiCパワー半導体は、導入すれば航続距離の延伸やモーターの小型化などにつながることから、電動車向けの採用が拡大している。

富士電機では26年度を目標にする中期経営計画で半導体分野に3年間で1800億円の設備投資をすることを表明している。6インチのSiCパワー半導体については、生産能力を同年度に23年度比9倍に引き上げる計画だ。8インチのSiCパワー半導体の量産技術の開発にも取り組んでいく。


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日刊工業新聞 2024年12月26日

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