特集

MEMBER’s COMMENT

冨岡 桂子
情報工場

本書には、合成テクノロジーの一つとして、大気圏に反射性粒子をばら撒き、太陽光を反射させて地球を冷却するという構想についても書かれている。それによって、地球温暖化を抑えようというものだ。実行すれば、温暖化をめぐる問題を一気に解決できるが、これは地球をつくり変えるという大それた行為であり、思わぬところで自然のバランスを崩しかねない。ただ、実行しなければ、このまま温暖化が進み、地球が人間の住めない星になってしまう可能性がある。「トロッコ問題」のようなジレンマだが、少なくとも私たちは、テクノロジーがこのような難しい判断を迫られる段階に達していることを認識する必要があるだろう。

志田義寧
北陸大
准教授兼ジャーナリスト

菅内閣が誕生したことで、携帯電話会社が通話料の値下げに追い込まれるのは必至だ。政府の役割は競争環境の整備であって、民間企業の料金水準にまで口出しするのは決して好ましいことではない。しかし、協調的寡占の中で価格競争が起きにくい市場構造になっているのも事実であり、携帯電話会社は政府の介入を許してしまった原因を謙虚に受け止める必要がある。通話料の値下げと物価目標2%は相反する政策のように見えるが、値下げで消費が活性化すれば、物価の押し上げ要因にもなる。目先の評価に惑わされず、長い目で見た政策を繰り出していくことが重要だ。ただその際、生活防衛から余ったお金が貯蓄に回ってしまったら元も子もない。人々が安心して消費できる環境を作るには、雇用の安定が大前提となる。成長が見込める産業に労働者がシフトするような構造改革やそれを促す教育体制の整備も同時に行って初めて通話料の値下げも生きてくる。

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

個人の思索の中で芽生えた、自由な発想に基づく種を育てていく学術研究は、人文・社会科学の研究者がなにより大事にしているものだ。しかし「独りよがり、社会と無関係、税金を使っていてもお構いなし」というマイナス面を生みがちだ。新事業は多様な研究者(阪大以外の所属を大歓迎)、社会のステークホルダーとの議論から、同分野の学術研究を生み出す新方策を目指している。歯がゆいのはこの活動が、単純な研究プロジェクトと異なり理解しにくいことだ。私自身、修士まで自然科学、社会人で取り組んだ博士は社会科学と自然科学の融合分野とあって、この活動に強く賛同するのだが、この記事は何度も書き直し、いつも以上に苦労をした。文理の融合・学際領域に関わる、特にこれからの科学を切り拓く若手や中堅の研究者には、ぜひこの事業に参加して、この活動の意義を社会に伝えていくことにも携わってほしい。

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

まずは1年間、お疲れさまでした。 1年前、就任時の社説に「胸を張って環境先進国と言える国にしてほしい」と書きました、偶然です。 1年前「脱炭素を目指します。ただし再生エネ普及の次第」と言って、脱炭素は国の政策次第としていた企業が多かったですが、最近は「再生エネを増やしてほしい」と政府に訴える企業が増えたと思います。企業が意思表明を始めたのが、この1年の変化でしょうか。

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