「やりたいのは建物作りではない」、東日本大震災で激変したリノベ会社社長の価値観

ミライデザインワークスが“DIO”推進

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プロ・素人問わず参加型で建築やリノベーションを行う
 DIYならぬ“DIO(Do It Ourself=私たちでつくる)”を合言葉に、プロ・素人問わず参加型で建築やリノベーションを行う工事スタイルが人気を呼んでいる。ミライデザインワークス(仙台市太白区、小島英弥夫社長、022・305・0767)率いる「チームDIO」が手がけている。こうした工事をするようになった背景には、リーダーである小島社長の東日本大震災での経験があった。

 むき出しの配電線や隙間の空いた板材―。雰囲気のいいカフェでも、よく見れば粗がある。それもそのはず、施工したのは常連の主婦たちやオーナー自身。小島社長は「失敗はない。へたくそでも味がある」と話す。

 素人がDIOで施工した結果、「プロでも衝撃を受けるような空間が完成することもある」(同)。のこぎりを使うなど危険な作業は同社が手がけ、ペンキ塗りなどの簡単な「宿題」はボランティアが担う。「まるで学園祭のような雰囲気」と、DIO参加者の中には熱心な追いかけも。一緒に作業をするのは「テンションの上がるコンテンツ」と話す。

 小島社長は、大手工務店に勤務していた2011年、東日本大震災に遭ったことをきっかけに価値観が激変したという。「丈夫なはずの家は津波で流されたが、目に見えない地域コミュニティーは消えなかった」。

 その後、被災地での矛盾を目の当たりにし13年に独立。工務店の手が足りなかったことから自社の作業場を自作したことや、復興プロジェクトの一環で宮城県内のレストラン建設に携わったことなどをきっかけに、徐々に現在のスタイルができあがっていった。

 現在はDIOのチームメンバーも増え、大工以外にもデザイナーやクラウドファンディングの専門家などもいる。チーム一丸となって「建物ではなく、オーナーの持つ世界観を実現する。我々はその背中を押すだけ」。

 そんな手法が口コミで広がり、施工が拡大。女性活躍を促進するためのコワーキングスペースや「魔女」がテーマのカフェ―。それぞれの志を携えて、ひっきりなしに依頼が来ると話す。DIOに手伝ってもらったオーナーが、恩返しで別のDIOに参加することもあるという。

 「やりたいのは建物作りではなく、リノベを通した共感のコミュニティー作り」(同)。震災からまもなく8年。目に見えないが確かに存在する温かな人の輪が、DIOを中心に広がり続ける。
(文=仙台・田畑元)

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