ロボットでビル窓施工、YKK APが実用化へ
不良を補正、建て込み
YKK APはビルの施工技能者に代わり窓を設置・溶接するロボット「MABOT(マボット)」を開発した。自律移動し人と連携するロボットのシリーズで、アルミサッシを設置するアライメンターと、設置されたサッシを溶接し固定するウェルフィクサーの2種類。2025年春までに非木造建築物の現場で試験運用し、28年度には現場での実用化を目指す。
アライメンターは開口部に書かれた黒色墨の基準線を認識し、窓枠の位置決めを高精度で実施する。自機の位置や開口の精度不良を補正して建て込む。アーム先端に装着する装置(エンドエフェクター)は着脱式。窓枠を設置した状態で溶接固定に引き継ぐ施工手順や、エフェクター交換による幅広い窓種への対応を想定する。
ウェルフィクサーは建築の3次元(3D)モデリング技術「BIM」で作成した地図情報を基に、設置された窓枠の前に移動する。地上から高さ3・2メートルの範囲で、窓枠の四周に鉄製ブラケットを自動配置し溶接する。コードレスのバッテリー駆動で自在に移動し、20ミリメートル程度の段差は乗り越える。人や障害物を回避して接触時には自動停止する。
通常は施工技能者が行う窓設置・溶接の工程で、ロボットの遠隔操作により人員数と作業時間を半分程度に削減。作業員の高所作業や有毒な化学物質を吸引するリスクを低減し、不活性ガスで火花の発生を抑える。省人化や工期短縮、安全性の確保を実現する。
一方、技能者が経験や感覚を基に施工していた不確実性の多い現場への対応が課題となっている。ビル窓はセミオーダーが基本のためロボットが使える現場は限定的だが今後、活用可能な現場の拡大を目指す。
日刊工業新聞 2024年12月27日