電動フォークリフト用電池状態監視…エナジーウィズ、“コト売り”商材が好評な理由
エナジーウィズ(東京都千代田区、吉田誠人社長)が新規事業の柱の一つとして育てる、電動フォークリフト用電池状態監視サービスの導入効果が着々と見えてきている。電池メーカーとしてモノ売り中心だった同社が、2023年9月に始めた“コト売り”の第1弾商材だ。年2億―3億円の売上高目標には届かないが、顧客からは「電池トラブルによる業務遅滞を回避できた」「フォークリフト台数や配置の見直しができた」と好評だ。
エナジーウィズのサービス「ウィズBMS」は、電動フォークリフトの電池充電やバッテリー液の補水など電池の運用管理状況を可視化し、定期リポートによるユーザーへの注意喚起や改善提案で電池本来の寿命まで有効に使い切ることを支援する。
専用のモニタリングユニットを個々のフォークリフトの電池モジュールに装着すると、電圧、電流、温度、液面レベルといったデータがクラウドサーバーに自動収集される。これを基に電池残存寿命の推定、電池の使い方の改善提案、フォークリフトの実稼働状況の可視化、電池交換のアラートなど最適な運用に向けたリポートがフィードバックされる仕組みだ。顧客は必要なメニューのみを選ぶ。
従来、物流施設の電動フォークリフトのメンテナンスは現場担当者の経験や勘に頼り、経営層が関与することがあまりなかったという。実際に同サービスを提案しても、顧客は「今は特に困っていない」という理由で導入を渋るケースも多い。
一方で同サービスの提案を始めて約1年が経過し、建材メーカーや食品メーカーの物流施設など数社が導入して、業務改善に役立つ事例も出てきた。導入を検討する企業の中には、電動フォークリフトにかかる年間のコスト削減の目標を定めるなど「業務改革の一環としてフォークリフト運用に課題感を持ち、状況を可視化して最適化しようという意識の高い企業がまずは採用してくれている」(新事業統括部監視システム事業推進グループの鳥海英郎担当部長)という。
トラック運転手の時間外労働の上限を規制する「物流の2024年問題」の解決にはモノを輸送する工程にとどまらず、倉庫内での業務遅延もなくす必要がある。手つかずだったフォークリフトにかかるコストを適正化し、慢性的な人手不足解消に向けた費用に振り向ける可能性も広がる。エナジーウィズは電池異常による故障を未然に防ぎ、物流を止めない同サービスを拡販していく方針だ。