「エチレン稼働率」90%割れ、26カ月連続で最長に並ぶ…高まる再編検討の必要性
エチレン生産設備の稼働低迷が止まらない。石油化学工業協会(石化協)が17日発表した9月の国内エチレン製造プラント稼働率は、前年同月比1・3ポイント減の80・2%だった。好不況の目安とされる稼働率90%を割るのは26カ月連続で、石化協が正確なデータを持つ2008年秋のリーマン・ショック以降での最長期間に並んだ。国内需要の低迷に加え、中国の大型プラント新増設などで事業環境は激変。各社が再編を検討する必要性も高まっている。
9月の国内エチレン生産量は同9・7%減の38万9700トンだった。エチレンは自動車や日用品などに使われる化学製品の基礎原料。需要面では世界経済や中国経済の回復の弱さ、国内の物価高による消費の伸び悩みなどが影響した。供給面では中国を中心としたプラントの新増設による供給過多で、需給バランスの悪化に拍車をかけている状況だ。
石化協の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は「不可逆的な変化が起き、(稼働率が)90%を超える状況は、なかなか見通せない」と言及。低稼働率が続くことで設備負担が増すリスクも考えられ、安定操業には需要に見合った生産体制の整備が重要になる。
化学各社は再編に向けた検討を本格化している。三井化学と出光興産は千葉県のエチレン設備の集約について基本設計に取り組む。25年度下期には実際に集約するかどうかを決める予定。旭化成と三菱ケミカルグループ、三井化学は西日本で生産体制の最適化を含め、脱炭素実現に向けた連携を検討する。
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日刊工業新聞 2024年10月18日