光電子顕微鏡で1万倍高速化…東大、半導体を現像前に検査できる手法
東京大学の藤原弘和特任助教、谷内敏之特任准教授らの研究グループは、半導体製造プロセスの不良検査について、リソグラフィパターンが顕在化する前の段階で検査できる手法を開発した。光電子顕微鏡を使って検査段階を早め、既存手法に比べて1万倍高速な検知が見込める。半導体製造の歩留まり向上や検査プロセスの短縮化につながる。
研究グループは、3ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の空間分解能を持つレーザー励起光電子顕微鏡を使い、レジストに描画された「潜像」を高速に検査できることを示した。現在、検査に使われている走査型電子顕微鏡(SEM)のレジストパターン観察の1万倍のスループットが見積もられている。
これまで現像後にしか検査できなかったリソグラフィパターンを現像前に高速で検査可能になる。露光によって化学的な変化を伴うあらゆるレジストに対して適用でき、最先端半導体製造向けの「HNA型極端紫外線(EUV)リソグラフィ」用のレジストにおける検査も可能になると見込まれる。
応用物理学会発行のアプライド・フィジクス・エクスプレスに掲載された。
【関連記事】 新しい熱電源を操る愛知の急成長企業を見逃すな!
日刊工業新聞 2024年10月21日