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価格10%低減…新明和が業界初開発、高機能「航空旅客搭乗橋」の機能

価格10%低減…新明和が業界初開発、高機能「航空旅客搭乗橋」の機能

ガーターレス型の試作機(左は溝とレールが露出する従来機)

新明和工業は浸入する雨水を排出するガーター(溝)と伸縮機構のトンネルレールを可動カバーで遮蔽(しゃへい)する航空旅客搭乗橋を業界で初めて開発した。足や車いすが溝に詰まる事故、露出したレールの潤滑剤による通行面の汚れを防げる。通行面を床下面の上に設けて溝とトンネルレールを覆うフルフラット型搭乗橋に比べ価格を約10%低減。安価で上質・高機能な搭乗橋として、2030年度までに300基の受注を目指す。

開発したのは、勾配やガーター幅が国内最小級のバリアフリー型搭乗橋をベースとするガーターレス型搭乗橋。

バリアフリー型では通行面の両脇に露出するガーターとトンネルレールを、可動カバーで覆う。搭乗橋は本体がトンネル構造の箱2―3体からなり、大きな箱に小さな箱が出入りし伸縮する。伸縮する際の滑り面がトンネルレールで、伸縮箇所にカバーを固定する技術は難しく競合他社は手がけていない。

新明和工業は伸縮と同期して動く可動カバーを考案し、ガーターレス型を可能とした。これにより、比較的安価なスタンダード型搭乗橋より多少高額なバリアフリー型にカバーを装備すれば、最上位のフルフラット型と同じくガーターとトンネルレールを遮蔽できる。レールの潤滑剤は踏むと通行面が汚れ、清掃も必要。このため、保守費用の軽減を求める海外の航空会社から開発ニーズが寄せられていた。バリアフリー型だけでも通行面の安全性は高まるが、清潔感のある上質さと保守費用軽減の価値を付加できる。

新明和はガーターレス型の開発に伴い、播磨工場(兵庫県小野市)に試験機、宝塚工場(同宝塚市)に雨水排水試験装置を導入。多様な条件で異なる雨水の流れ方を検証する試験を実施し、信頼性と安全性も確かめてきた。新明和は搭乗橋事業でアジアと国内のトップクラス。

日刊工業新聞 2024年10月21日

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