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明太子でおなじみ「ふくや」が秘伝の製法を広く伝授したワケ

明太子でおなじみ「ふくや」が秘伝の製法を広く伝授したワケ

辛子めんたいこの知名度を全国に広げた、ふくやの「味の明太子」(ふくや提供)

ふくや(福岡市博多区、川原武浩社長、092・291・3575)は、1948年(昭23)創業の辛子めんたいこの製造・販売会社。創業者で川原社長の祖父、川原俊夫氏は博多名物の辛子めんたいこを開発し、世に広めた人物。“元祖”を名乗らず、製法特許も取らず、他社に作り方を教えることで市場を広げ、めんたいこ食文化発祥の地である博多の発展に貢献してきた。

現在、辛子めんたいこの市場規模は約1200億円。しかし同社の商品が売れるまでには時間がかかった。地域の会合に商品を持ち込み、感想を聞いて改良し続けた。外部に教えるまでには10年かかった。顧客のニーズに合わせて作る、今でいう共創マーケティングの先駆けでもあった。

売れだすと「製法を教えてくれ」という企業が続々と現れ、取引先の要望にも応じた。俊夫氏が元祖と言わなかったため、元祖や本家を主張し合う論争は起きなかった。川原社長は「顔見知りばかりで紳士協定が守られやすい環境だった。食品のイメージが悪くならずに済んだ」と話す。

博多など福岡土産として人気が高まると、東京の羽田空港内や大阪にも直営店を出店した。チューブ入り「ツブチューブ」、スティック状に個包装した「味な油漬け どこでも明太子」、缶詰の「めんツナかんかん」などの新商品を次々と投入。自宅で食事する人が増えたことでインターネット販売も伸びている。

俊夫氏は川原社長ら後継者に「味は変化させろ」「商売は腹八分目」「利益を出して納税(社会貢献)しなさい」「カネを残すな、人を残せ」という四つの教えを残した。この教えを胸に経営理念である「強い会社、いい会社」の実現を目指し進化を続けていく。

【企業メモ】ふくやは戦後に中国東北部から引き揚げてきた川原俊夫氏が創業。福岡県内を中心に直営店を展開する。2019年には福岡市中央区にイタリア・ローマ発祥のヘルシーピッツア店舗を出店するなど新事業にも力を入れる。
日刊工業新聞2020年10月26日

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