コスト6分の1以下・耐久性4倍以上…ホンダ、「次世代FCシステム」量産化へ
ホンダは開発中の次世代燃料電池(FC)システムを2027年にも量産化する。コストを16年投入の第1世代と比べ6分の1以下に引き下げ、耐久性は4倍以上に高める。低コスト化や高耐久性、高出力密度を実現し、燃料電池車(FCV)の競争力向上とともに商用車や建設機械、定置電源などに用途を広げる。水素社会の実現に貢献していく。
開発するのは第3世代となるFCシステム。現行の第2世代は24年7月発売の新型FCV「CR―V e:FCEV」に搭載している。第2世代では新構造セルユニットの採用や生産性向上などにより、第1世代と比べてコストを3分の1以下に削減。耐食材料の適用や劣化抑制制御により耐久性を2倍以上に高めた。第3世代は第2世代からさらにコストを2分の1以下に抑えつつ、耐久性を2倍以上に引き上げる。
第2世代は米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発し、両社の合弁会社で製造している。第3世代は方針を見直し、自社単独で開発・生産する方向だ。
世界的な環境規制対応で自動車の電動化が進展する中、自動車業界では次世代のFCシステムについての協業も進んでいる。
トヨタ自動車と独BMWは9月、同システムを共同開発すると表明。BMWが同システムを搭載したFCVの生産を28年に開始する計画だ。BMWにとってFCVの量産モデルは初となる。両社は水素インフラの拡充についても協力して推進する構え。FC技術のコスト削減とともにFCVの普及率向上につなげる。
同じ24年9月に米GMと韓国・現代自動車(ヒョンデ自動車)も、車両やクリーンエネルギー技術など戦略分野で協業を検討すると表明した。水素技術の共同開発・生産も協業のテーマとなっている。
現代自は18年に量産FCVを発売し、20年にはFC大型トラックを投入。24年1月に米ラスベガスで開催された家電・IT見本市「CES」でもFCVをはじめとする水素FC技術を紹介した。25年に新型FCVを発売する計画も打ち出すなど、FCVで存在感を高めている。
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