日産のリストラ完遂が焦点に…ホンダ、どうなる経営統合交渉
求められる開示・実行
ホンダと日産自動車の経営統合交渉をめぐり、日産のリストラ完遂力が焦点になる。両社は23日にも統合交渉入りで合意する見通しだが「協業の話を進める上で日産にターンアラウンド(再生)計画をしっかりやってほしい」とホンダ首脳は指摘する。9000人の人員削減だけが独り歩きする日産の再生計画。工場の統廃合や車種削減など詳細の開示と実行が求められる。
日産は業績不振を受け、世界人員の1割弱に相当する9000人の削減や生産能力を20%削減し約400万台体制に引き下げる再建策を公表。2026年度までに固定費を24年度比3000億円、変動費を同1000億円削減する方針だ。
日産の内田誠社長は11月の会見で「いかなるビジネス環境の変化にも柔軟・機敏に対応できる『スリムで強靱(きょうじん)な事業構造』に再構築する」と意欲を見せた。ただ、生産能力の削減は大がかりな工場閉鎖ではなく、ライン速度やシフト調整による人員の効率化や老朽ラインの新鋭化ラインへの統合などが中心。リストラの場所や時期も明らかにされておらず構造改革の実効性は未知数だ。
ある電機大手幹部は「9000人のリストラの詳細が出ていないのに統合話が急に表に出た。今後うまくいくのか」と投げかける。SMBC日興証券の牧一統シニアアナリストはリポートで「日産の構造改革の道筋や戦略パートナーシップの成果も十分に示されないまま統合議論が進むことは『日産の救済』とも捉えられかねない動き。両社の競争力強化につながるのか疑問」と指摘する。
19日の東京株式市場では日産株が前日終値比27円2銭高の444円8銭と上昇する一方、ホンダ株は同24円5銭安の1220円。7日続落し、年初来安値を更新した。
自動車産業は100年に1度の変革期にあり、変化に迅速に対応する必要性は高まっている。ホンダ首脳は「これまでの自動車会社の延長線上に未来がある、とは思っていない。新しい施策、グローバル競争力を確保することが必要」とした上で「協業の話は順調に進んでいる。さらに協業が進めば買収や経営統合も可能性の一つ。いろいろ議論をしている」と明かす。
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