設備投資100億円上積み…小糸製作所が高性能センサー増産
小糸製作所は2026年3月期の設備投資額を25年3月期計画比で100億円程度積み増す見通しだ。公表済みのインドとブラジルでの自動車用ランプの生産能力拡張に加え、新規事業として育成する高性能センサー「LiDAR(ライダー)」の量産ライン新設などに合計約650億円を投じる。インド、ブラジルでの旺盛な車載ランプ需要に対応。欧州などでは先進運転支援システム(ADAS)搭載車の需要が27年ごろに高まると判断し、同技術に有効なライダーの需要期にスムーズな供給ができるように生産体制を整える。
小糸製作所の加藤充明社長が25日、日刊工業新聞社のインタビューで明らかにした。ライダーの量産ラインは静岡工場(静岡市清水区)に25年度に新設する。26年度に少量生産から始め、27年度をめどに量産に移行する計画だ。投資額は30億―40億円程度になる見込み。
同社は30年度までにライダー事業で売上高500億円を目指している。柱の一つが短距離・中距離・長距離をセンシングする車載ライダーだ。すでに小糸の短距離用ライダーが、特定条件下で運転を完全自動化する「レベル4」に対応した車両の周辺監視用途で、海外の車メーカーでの採用が決定。今回新設するラインで量産する。
このほか長距離用ライダーも引き合いがあるとし、加藤社長は「30年度に掲げるライダー事業で売上高500億円の確度が高まりつつある」と強調。今後、本格量産が必要となる場合の次のライン増設を検討する方針だ。
同社はこれまでにブラジル工場(サンパウロ州)で28年度までに計約130億円を投じ、ランプの生産能力を従来比7割拡大する計画を公表済み。インドでは同社として同国で3カ所目の車載ランプ工場を24年3月に稼働しており、生産能力を高めていく。
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日刊工業新聞 2024年12月26日