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18年度の賃金改善「ある」回答56.5% 唯一「ない」と答えたのはどの業界?

06年以降で最高更新 帝国データまとめ
 帝国データバンクは2018年度の賃金改善が「ある」と見込む企業が前年度比5・3ポイント増の56・5%と、06年の調査開始以降で最高だったとする調査結果をまとめた。賃金改善を実施する企業の割合は実施しない企業の割合(18・4%)を38・1ポイント上回っており、18年度の賃金動向はおおむね改善傾向にある。

 18年度に賃金改善が「ある」と答えた企業を業界別に見ると、製造が60・5%で最多だった。以下、運輸・倉庫の60・3%、建設の57・2%となり、上位3業界は前年度と変わらなかった。企業からは人手不足による人材の定着・確保に向け賃金改善を行う声が多かったという。

 一方、金融は13年連続で「ない」(34・9%)が「ある」(24・6%)を上回っており、10業界で唯一、賃金改善を見込む企業の割合が前年度比でマイナスだった。

 従業員数別では6―20人(60・0%)、21―50人(62・9%)、51―100人(61・5%)の企業で賃金改善を見込む割合が6割を超えた。ただ、5人以下、301―1000人、1000人超の企業では4割台にとどまる。賃金改善を行う企業は中小企業で高く、小規模企業や大企業で低くなる傾向が表れている。

 改善内容についてはベースアップを考えている企業が前年度比5・1ポイント増の45・4%と過去最高を更新した。その結果、企業の総人件費は平均2・8%上昇すると見込まれ、従業員への給与・賞与は約3兆7000億円増えると試算している。

 同調査は1月18―31日、全国2万3089社に実施。44・0%にあたる1万161社から有効回答を得た。

   
日刊工業新聞2018年2月22日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
賃金改善を行う企業は中小企業で多いというのが意外でした。人手不足が一番深刻な層なのかもしれません。

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