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日本が世界最安の「iPhone」価格、最新モデルは2割値上げか

MM総研(東京都港区、関口和一所長)は、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売価格は日本が世界34の国・地域の中で最も安いとする調査結果を発表した。MM総研は直近で急速に円安が進んでいる点も踏まえ、訪日外国人によるアイフォーン購入が増える可能性を指摘。ただ、部材費・物流費の高騰などに伴い、今秋発売とみられる最新モデルは最大2割の値上げが懸念されるとも分析した。

調査では6月の各国のアップルオンラインストアの価格を、6月1日時点の為替レートに基づいて円換算し、比較分析した。「アイフォーン13」の記憶装置容量が128ギガバイト(ギガは10億)のモデルは、日本での販売価格が9万8800円で世界最安だった。

一方、日本以外の平均は12万6433円となった。安い国・地域の上位は、香港が11万1831円で日本に次ぐ2位。タイが11万2397円で3位になるなど、アジア圏での安さが目立った。アップルが本社を構える米国は、11万6477円で8位。反対に最も高額だったのはブラジルで、次にトルコ、メキシコと続いた。

13日の東京外国為替市場では一時、円相場が1ドル=135円台前半まで値下がりし、約24年ぶりの円安水準となった。また政府は10日、訪日外国人観光客の受け入れを再開した。MM総研は「日本人も円高時には海外旅行の際に、海外ブランド品を購入することが賢い選択となるケースが存在していた。外国人にとって日本でのアイフォーン購入は同様のメリットが得られる状況だ」と分析しており、今後、需要が高まる可能性もある。

同社はアイフォーン最新モデルについて、例年通りであれば9月ごろの発売が想定されると指摘。ただ、価格については「部材費・物流費の高騰に伴う価格上昇要因が存在し、アイフォーン13シリーズと比較すると最大2割の値上げも懸念される」とした。為替や端末価格の動向次第で訪日客の購買行動がどう変わるか、注目が集まりそうだ。

日刊工業新聞2022年6月15日