電気代高騰に太陽光で対抗、中小企業の再生エネ導入が加速している…「100%達成」25%
中小企業が再生可能エネルギーの導入を加速している。390社・団体が参加する「再エネ100宣言RE Action(アールイーアクション)協議会」の集計によると、2023年度時点で、加盟する96社・団体が事業で使う電力全量を再生エネに切り替えた。前年度に比べ23社の増加だ。電気代高騰への対抗策として太陽光発電を導入する企業が増えている。(編集委員・松木喬)
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アールイーアクション協議会が、23年度の調査対象だった378社・団体の再生エネ導入を報告書にまとめた。加盟企業・団体による再生エネ100%達成数は年々増加しており、20年度は19社・団体だったが、23年度までに5倍に増加した。また再生エネ100%達成は全体の25・4%を占め、多数となった。
23年度は電子材料製造のユメックス(埼玉県熊谷市)、温室効果ガス(GHG)排出量算定のブースト・テクノロジーズ(東京都品川区)、紙・化成品製造の日本化工機材(相模原市中央区)、産業廃棄物処理のサンコーリサイクル(愛知県東海市)、IT支援のokicom(沖縄県宜野湾市)などが再生エネ100%企業に加わった。
“100%予備軍”も多い。再生エネ比率50―99%は56社・団体(14・8%)あり、100%達成が100社・団体の大台に到達しそうだ。一方で再生エネ比率30%未満は201社・団体(53・2%)と半数を占めており、底上げが課題となる。
また、23年度の再生エネの調達手段を聞いたところ太陽光発電の活用が101件と最多だった。電気代を抑制しようと、敷地内に太陽光パネルを設置する企業が増えている。再生エネ電気の購入契約は92件、再生エネを使ったとみなせる証書の調達は58件だった。
再生エネ調達の課題も聞くと「費用対効果の見極めが難しい」が114件、「太陽光発電では全電力に足りない」が80件、「テナントのため証書以外の方法がない」が47件の順だった。また、協議会の金子貴代事務局長によると「屋上の太陽光パネルでの不足分を、事業所がある地域産の再生エネで補いたいと考える中小企業が多い」と解説する。
さらに個別のヒアリングでは「国や自治体の補助金制度は大規模な太陽光発電設備を対象としており、中小企業には活用しにくい」「再生エネの導入率が高い企業に対する政策・制度面のメリットが感じられない」などの声があった。
こうした課題を解決するため、アールイーアクション協議会として政府に要望書を提出した。再生エネの導入拡大とともに、中堅・中小企業の声を政策に反映させるために国の会議への参加を求めた。
アールイーアクション協議会は中小企業や自治体、学校、医療機関などが再生エネの普及を目指して19年に設立された。50年までの再生エネ100%達成を目標に掲げ、進捗(しんちょく)を報告することが参加条件。製造業は112社が参加している。
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