顧客囲い込みに課題のドコモ、「dポイント」6月刷新でどう変わるか
NTTドコモはポイントプログラム「dポイントクラブ」の内容を6月に改定する。dポイントを多く獲得するほど「ランク」が上がり、ポイント進呈倍率が高まる枠組みとする。現在もランクに似た制度を設けているものの、利用者の支持がいま一歩だと判断して刷新を決めた。従来、ドコモは自社通信契約者の囲い込みにも他社通信利用者の取り込みにも課題があり、今回のポイント改定でテコ入れできるか試される。(編集委員・斎藤弘和)
「顧客からは現状のプログラムに対して、ステージアップのモチベーションが湧かない、(最上位の)プラチナステージの恩恵が少ない、などの意見を頂いていた。一刻も早く対応するべきだと考え、このタイミングで刷新を図った」―。ドコモの伊藤邦宏マーケティングメディア部長は、dポイントクラブ内容改定の背景をこう説明する。
現在のdポイントクラブは、5段階の「ステージ」制。多くのdポイントを獲得するなどしてステージが上がると映画を優待価格で楽しめるといった特典を設けているものの、ポイント進呈倍率は基本的に1倍のままだ。改定後は5段階のランク制を採用し、最高位の五つ星ランクでは倍率が2・5倍となる。また、二つ星・三つ星に関してはランクアップに必要なdポイント獲得数を引き下げる。
ドコモは自社の携帯通信の契約者にdポイントをより活用してもらう余地がある。MM総研(東京都港区)が通信とポイントサービスの相互利用状況を調べたところ、ドコモの通信契約者でdポイントを最も多く使う人は2021年8月末時点で32・4%。楽天モバイル契約者のうち「楽天ポイント」を最も使う人は73・9%に上り、ドコモは囲い込みが不十分とも言える。
加えて、自社の携帯利用者以外へのdポイント普及も課題だ。MMDLabo(東京都港区)が21年7月に行った調査によると、ドコモの通信サービスの契約者のうち、ポイントサービスの中でdポイントを最も利用すると回答した人の割合は34%。だがソフトバンク契約者では、楽天ポイントを最も多く使う人が29・6%に対し、dポイントは1・9%にすぎない。
ドコモの伊藤部長はdポイントクラブ改定後について「dポイントの加盟店でポイントが貯まるという部分に関しては、ドコモの回線を持っていない方でも十分特典が得られるような仕組みになっている」とし、幅広い利用者の獲得に自信を示した。進呈倍率の改善などに伴ってコストがかさむ懸念もあるが、それを上回る成果を出せるか注目される。