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割れないマグネシウム合金、衝撃吸収3倍

物材機構が開発、自動車の構造材などへの応用目指す
割れないマグネシウム合金、衝撃吸収3倍

物材機構の動画映像より

 物質・材料研究機構構造材料研究拠点の染川英俊グループリーダーは、衝撃吸収力の高いマグネシウム合金を開発した。力を加えると割れずに変形して、衝撃を吸収する。市販のマグネシウム合金に比べ、吸収エネルギーが3倍に増えた。マグネシウムは実用金属材料の中では最も軽い。自動車の構造材などへの応用を目指す。

 結晶粒界(結晶粒の境界)の滑りを利用して変形しやすくした。マグネシウムに微量のマンガンを添加すると、粒界に集まって結晶粒同士が滑りやすくなる。円筒形の押出材を作製して圧縮試験をしたところ、蛇腹状につぶれた。

 市販材は圧縮すると亀裂が入って割れてしまう。マンガン以外のアルミなどを添加すると粒界が滑りにくくなる。変形することでエネルギーを消費するため、自動車の構造材に利用すれば衝撃吸収効果が期待できる。今後、高速圧縮での衝撃吸収力を検証していく。
                          


明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 欧州自動車メーカーが共同検討し、2009年に発表した「スーパーライトカーコンセプト」。骨格部材に高張力鋼板(ハイテン)、パネル材にアルミや炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とともに、マグネシウム合金を適用したのが特徴だ。採用実績のないマグネシウムを素材として適用したことは期待値の大きさを表している。  マグネシウムの重量は同容積の鉄の約4分の1、アルミの約3分の2で実用金属では最軽量だ。重量当たりの強度や剛性も鉄やアルミ、樹脂をしのぎ、部材の小型化、薄肉化が期待できる。もともとアルミ合金などへの添加剤としての利用が多かったが、軽量化をキーワードに素材そのものへの関心が高まっている。  一方日本では日本マグネシウム協会が昨年、低コストな自動車向けマグネシウム鋳造素材の開発設計に着手。大手自動車・部品メーカーや鋳造メーカーを中心に17社で「自動車マグネシウム適用拡大委員会」を設置し2017年度内をめどに、アルミニウム合金と同等かそれ以下にコストを抑えたマグネシウム合金の開発を目指している。

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