日本のロボット産業をけん引するのは愛知県だ

技術力を世界に発信、次代の県内産業の担い手に

 愛知県はサービスロボットの実用化に向けて、企業の研究開発支援を強化している。中部国際空港島に建設する展示場で、2020年に開かれる国際ロボット競演会「ワールドロボットサミット」(WRS)を契機に、ロボット産業の技術力を世界に発信し、ロボット産業拠点の形成につなげる。自動車、航空・宇宙と並んで、ロボットを次代の県内産業の担い手として期待を寄せている。

 愛知県は、今後の成長が見込まれる分野での研究開発・実証実験を支援するため、2012年度に「新あいち創造研究開発補助金」を創設。7回目となる18年度は、同補助金にサービスロボット実用化の支援メニューを新設した。
 
 支援メニューにサービスロボットを加えた狙いについて、大村秀章知事は「WRSの成功に向けた企業の取り組みを支援し、『産業首都あいち』を目指す」とし、次世代を担う産業の発展にかける意気込みを示した。

 サービスロボットの実用化支援について、WRS会場のある中部国際空港島などで、実証実験を行うことを条件に公募したところ、応募は12件。外部有識者を中心とする審査の結果、8件を採択した。8件を企業規模別でみると大企業、中小企業が4件ずつだった。

 採択案件の技術ポイントを見ると、人工知能(AI)搭載の動きが加速していることがわかる。WRS会場での実証実験を想定し、採択案件ではAIを用いた自律走行で、人間に代わって施設の案内や荷物を運搬するなどの作業を自動化し、省人化とコスト削減を目指すものが多い。

 インディ・アソシエイツ(名古屋市中区)の「リモートワーク型サービスロボットの実用化」は、AIによる多言語対応のコミュニケーション機能が特徴。来訪者に対してコンシェルジュのような役割を担う。

 ケーイーアール(愛知県豊川市)の「自律二輪型案内・警備ロボットの実用化」は、AIによるコミュニケーション機能や顔認証機能を生かし、施設利用者に付き添って目的地まで案内する。また、夜間には施設内の巡回警備で活用する。

 「WRSの会期中に中部国際空港、愛知県国際展示場などで披露できるように仕上げていきたい」(大村知事)と期待を寄せる。

 産業用ロボットの出荷台数で世界第1位を誇る日本の中でも、愛知県はロボット産業の集積が高い。ロボット製造業の製造品出荷額は1000億円を超え、全国1位だ。産業用ロボットをはじめ、製造現場で活用する搬送用ロボットは早くから実用化している。

 近年は自動車、機械、電機など多くの業界から参入が相次いでおり、ドローン、介護・医療向けロボットなどの開発が活発化している。

 産業としての層の厚みを生かし、愛知県では企業の研究・開発を積極的に支援し、日本のロボット産業をけん引していく考えだ。大村知事が会長を務める「あいちロボット産業クラスター推進協議会」を14年11月に設立。産学官が参画し、新たな技術・製品の創出に取り組んでいる。
 
 会員は454社・団体。医療・介護、製造・物流、無人飛行ロボット活用の三つの分野でワーキンググループを設置し、それぞれが実用化に向けた研究、実証を続けている。
 

日刊工業新聞2018年7月16日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
07月22日
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 このほか、大学などの研究成果をイノベーションにつなげることを目的とした産学官連携による「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」でも、ロボット分野の研究テーマを設定。介護医療から施設園芸作物の収穫作業支援、鳥獣害・災害対応など幅広いテーマで研究開発に取り組んでいる。
(名古屋支社・戸村智幸)

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