日本の防衛技術にボーイングが期待するワケ

「新中型機構想『NMA』には間に合わないかもしれないが受注を目指す」

●川崎重工業取締役常務執行役員航空宇宙システムカンパニープレジデント 並木祐之氏

 ―4月から航空宇宙カンパニーに航空エンジン事業を統合した新体制を始動しました。
 「BK117ヘリコプターに搭載したトランスミッションが象徴するように、機体事業とエンジン事業の技術シナジーはある。P1哨戒機やC2輸送機で実用化した航空機用一定周波数発電装置(T―IDG)の民間向けは米ボーイングとの共同研究のテーマの一つ。新中型機構想『NMA』には間に合わないかもしれないが受注を目指す。サプライチェーンの相互活用や生産改善『KPS』の成果共有も期待できる」

 ―2025年度に売上高7000億円(17年度4695億円)を目指します。
 「機体製造事業はボーイング『777X』への切り替えで既存『777』の生産が減る。一方、エンジンは25年度に増産ピークを迎え事業規模が2倍超の(3000億円程度に)膨らむ。伸びしろはエンジンだ。営業利益は二百数十億円をベースに積み上げていく」

 ―設備投資は。
 「民間機の増産対応は名古屋第一(愛知県弥富市)、岐阜(岐阜県各務原市)の両工場ともおおむね終えた。岐阜はP1の定期修理に向けた航空機整備施設(ハンガー)を増設中だ。エンジンの西神工場(神戸市西区)を含め大型投資のピークは過ぎた。これからは稼ぐフェーズだ。明石工場(兵庫県明石市)や岐阜など建屋の老朽更新が必要だ」

 ―民間エンジンの修理・整備(MRO)事業を計画します。
 「欧エアバスの小型旅客機『A320ネオ』用エンジン『PW1100G―JM』を対象にする予定だ。事業環境と投資対効果を見極めている」

 ―IoT(モノのインターネット)を活用した生産性改革を進めています。
 「『スマートKプロジェクト』と銘打ち、名古屋、岐阜でのロボット導入、無線識別(RFID)を活用した先進的なトレーサビリティー(履歴管理)システムなどを構築中だ。工程をネットワーク化し、ボトルネックを突き止める。本社の技術開発本部と連携してデジタル化を進めており、成果をKPSに反映するなど航空機の事業にも水平展開する」
並木祐之氏

日刊工業新聞2018年7月12日

日刊工業新聞 記者

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07月15日
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民間航空機事業は踊り場だが「25年度以降の成長を見据え、芽出しをする時期」と力を込める。昨年のパリ国際航空ショーでボーイングと先進生産技術の協力強化で合意しており、民間用T―IDG実用化など楽しみは多い。組織融合を進め、エンジン事業とのシナジーを発揮できるかが成長のカギを握る。
(日刊工業新聞・鈴木真央)

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