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「テレワーク」ニーズ急増、システム各社がサービス競う

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、二次感染のリスク軽減や継続的な事業展開のためテレワークを活用する企業が増えている。今夏には東京五輪・パラリンピックを控えテレワークを検討していた企業も新型肺炎の襲来で、前倒して導入する動きもある。提供する大手システム構築(SI)各社には引き合いや問い合わせが増加、将来の事業拡大を見据え期間限定でサービスの無償提供も行っている。

遠隔ソリューションを手がけるアールサポート(東京都港区)の「リモートビュー」は仮想デスクトップサービス(VDI)と違いパソコンにインストールするだけで利用できる手軽さが受けており、販売代理店の丸紅情報システムズによると既存顧客から「ライセンス数を増やしたい」という問い合わせが増加している。同社は4月30日まで無償提供を行っており「少し先だが無償期間後には売り上げに寄与する」と見る。

キヤノンITソリューションズ(東京都港区)はクラウド型テレワーク支援サービス「テレワークサポーター」を提供しており、問い合わせは19年比で倍増。新型肺炎のため前倒しで導入する企業もあるという。「元々テレワークに関心はあったが、適用する部門を拡大させたいとのニーズがある」と捉え、5月末までの無料提供の期間延長やライセンス数増加などを検討中。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)もグループ会社のCTCエスピー(東京都世田谷区)でシンクライアントなどを提供。ウェブ会議ソリューション「Zoom」の引き合いが多い。「働き方改革や五輪対策としてニーズがあったが、最近は一段と増えた」という。

また、パーソルプロセス&テクノロジー(東京都江東区)はテレワーク導入を急ぐ企業に対し管理ツールの無償提供を始めた。グループ会社のBizer(東京都千代田区)が使用するタスク管理ツール「バイザーチーム」で、プロセスの標準化、可視化を図っている点が特徴。テレワークの勤務日数、勤務時間、費用負担、トラブル発生時の対応はなどと順を追って落とし込み、テレワーク導入の問題発見と解決を容易にする。

テレワーク導入経験がない企業に手順や制度設計を分かりやすく説明、導入を支援すると同時に、現在、取引がない企業の将来の取引につなげる狙いがある。企業への無償提供期間は4月末日までを予定し、数百社の利用を見込んでいる。

働き方改革で注目されたテレワークだが、事業継続計画(BCP)対策としての期待も高まっている。

日刊工業新聞2020年3月5日