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病気にならない“健築”の可能性

ゼネコンやITベンダー、快適な空間つくる
病気にならない“健築”の可能性

大林組は国内初の「WELL認証」を取得(技術研究所本館テクノステーション)

 ゼネコンやITベンダーが健康に寄与する建物や空間づくり、健康経営の支援に取り組み始めた。竹中工務店はメンタルヘルスの観点から、生き生きと過ごせる建物環境を“健築”として事業展開を進める。「健康になるには人の努力だけでは限界がある。環境を整えることが大切」と竹中工務店の石川敦雄技術本部技術企画部副部長は話す。

 竹中工務店は現在、東京都内で建て替え中の大学病院で健築の考えを取り入れた建物空間を提案。人命を扱う緊張感などで生じるストレスを和らげ病気や職種などで異なる医師やスタッフが協力しあえる雰囲気を醸成する職場環境を設計した。

 例えば、医療部門ごとに分かれていたスタッフエリアを、医師やスタッフの自然な交流を促すため一つの空間に統合。数人で立ち話ができるカウンターや、人目を割けて休憩できる場所なども設けた。「多様な空間をつくることで、自分の状態に合った場所を選択できる」(石川氏)と心の健康に配慮する。

 大林組は2017年11月、技術研究所(東京都清瀬市)本館テクノステーションで、健康・快適性の観点から建物・室内環境を評価する国際認証「WELL認証」を取得した。日本での取得は同社が初めて。空気や水、食物や快適性、心など7分野で約100項目の建物環境を評価する。

 本館テクノステーションはもともと知的生産性を高める機能を盛り込んで設計されていた。勝俣英雄執行役員技術研究所長は「働きやすい建物は健康にもいい」と積極的にアピールする考えだ。

 富士通は東京大学医学系研究科川上研究室と企業の健康情報などを活用し、健康経営の評価予測を行う実証プログラムの共同研究を行っている。

 健康経営は、従業員の健康管理を重要な経営課題として認識。従業員の健康保持・増進が、将来的に企業の収益性や生産性などにつながるという考えからだ。

 共同研究では、東京大学川上研究室が保有する健康関連のさまざまな調査データや文献をベースに、これまで不明確だった「プロセス評価指標」と「アウトカム評価指標」の各評価指標間の相関関係を導き出すアルゴリズムを開発。

 例えば睡眠時間と生産効率などとの相関を分析し、「ストレスチェックの結果も踏まえて、個々にアドバイスする仕組みなども検討している」(岩津聖二富士通ヘルスケアビジネス推進統括部部長)。

 これらプログラムの予測が、健康経営の施策立案の支援に有効か検証。将来は健康経営ソリューションの製品化を目指す。
(文=村山茂樹、斉藤実)
日刊工業新聞2018年4月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
これまでは効率さ重視で無味乾燥な"儲かるビル"ばかりを作ってきた大手デベロッパー。働き手側や企業の意識変化は、日本のオフィス風景を徐々に変えていくだろう。