有病率は13.1%!徳川家康やジョン.F.ケネディ米大統領も苦しんだ?

ストレスでおなかが痛くなり、トイレへ駆け込まないためには

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 大事な会議の前におなかが痛くなり、トイレへ駆け込む―。こうした事態を頻繁に経験している人は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性がある。対策には生活習慣改善やストレス軽減が必要となるが、自己流ではうまくいかない場合も多い。症状に応じた薬を医療機関で処方してもらうことが有効だ。

 【駅のトイレ把握】
 IBSは検査で異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感を伴う便通異常が繰り返し起こる疾患だ。男性は下痢、女性は便秘の場合が多い。特に下痢は症状が重くなってしまうと、何度もトイレに入らざるを得ない。そうした人にとっては外出が非常に不安であり、「(いざという時に即座に行けるよう)すべての駅のトイレがどこにあるかを把握している患者もいる」(塩谷昭子川崎医科大学消化管内科学教授)。
 
IBSの原因はストレスだと考えられている。脳が不安や緊張を感じると、その信号は腸へ伝わる。すると神経伝達物質の一種であるセロトニンが腸で分泌され、それが過剰に働くと下痢や腹痛を起こす。塩谷教授によると知能の高い人が発症する傾向にあり、「徳川家康やジョン・F・ケネディ米大統領もIBSだったと言われている」。
 
【ストレスで悪循環】
 便秘や下痢が続くとストレスが増幅され、さらに症状が悪化していくという悪循環に陥る。IBSの治療はまず食事療法や運動療法から始まるが、症状が改善しない場合は薬物療法が用いられる。
 
治療薬には便が含む水分量を改善して便の硬さを適度に保つ高分子重合体や、腸の異常な運動を抑える抗コリン薬などが挙げられる。腸内におけるセロトニンの作用を抑える薬も出ている。選択肢は複数あるだけに、医療機関での適切な診断が重要だ。
 
 <専門医は語る>
 川崎医科大学消化管内科学教授 塩谷昭子氏「薬あるから大丈夫」力に

 IBSの有病率は13・1%との調査もあり、決してまれな病気ではない。頭で緊張などを感じると腸に不定愁訴が生まれ、それがまたストレスになるという悪循環で病態がつくられる。うつ症状を併発している事例も多い。

 なかなか軽快せずに(多数の医療機関を回る)ドクターショッピングを繰り返す人もいる。こうした疾患の治療ではまず、医師が患者との信頼関係を築くことが求められる。診療時間の制限で細かい傾聴が難しい場合はあるが、つらさを受容することが必要だ。
 
 私は患者へストレス軽減のために余暇を楽しむ、仕事をしすぎない、週末はリラックスすることなどを助言している。だが実行は意外と難しいものだ。「薬があるから大丈夫」と思うことができれば、症状が軽快して自信も出てくる。(談)

 ※日刊工業新聞で「病と闘う/疾患治療最前線」を随時連載

日刊工業新聞2015年 2015年06月18日 ヘルスケア面

COMMENT

栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

昔は私も該当していた気がしますが、仕事をしすぎない今は無縁かもしれません。

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