【ディープテックを追え】構造物に機能付与。メタマテリアルで部品開発

#86 Nature Architects

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構造設計を変えるだけで、自然界にはない機能を部品に与える-。。メタマテリアルと呼ばれる人工材料を使った技術で、新種のレンズや透明マントなどへの実用化が期待されている。Nature Architects(ネイチャーアーキテクツ、東京都港区)はこの技術を活用し、従来にはない部品の開発に挑んでいる。

メタマテリアルとは?

メタマテリアルは自然界にない機能を人工的に持たせることだ。金属などの材料はそのままに構造を格子状や蜂の巣状などに加工することで、特殊な性能を持たせる。例えば、部品や構造物のフレームに穴などの加工を施すことで、振動や騒音を低減できる。ただ、大嶋泰介最高経営責任者(CEO)は「機能と構造の関係性は不明瞭で、設計そのものが難しい」と話す。

データベースで構造と機能を紐づけ

ネイチャーアーキテクツはこの不明瞭な関係性を解消するソリューションを提供する。独自技術の「DFM(ダイレクトファンクショナルモデリング)」は、ユーザーが求める機能から設計を生成する。強みの一つが、同社の持つ構造とそれがもたらす機能を紐づけた膨大なデータベースだ。このデータベースを使い、構造によって生み出される機能の関係性を計算で導き、設計に落とし込む。

メタマテリアルで作った「アダプティブハニカム構造」の構造物

これにより、金属の強度を保ちながら軽量化したり、一定の方向にだけ弾力性を与えるなど機能を実現する。また設計データも、射出成形やプレス機、3Dプリンターなど量産に使う製造方法に応じた図面を出力可能だ。現在は振動抑制や製造簡素化、熱制御など、機能ごとの設計を行うモジュールのソフトウエアを開発。大嶋CEOは「従来、難しかった機能を実現できるだけでなく、安価な部材への変更や設計サイクルのコストダウンにもつながる」と強調する。

ダイキン工業と協業

実用化に向けて、ダイキン工業とは振動抑制の部分で協業する。室外機やエアコンの駆動時に出る騒音を抑制する部品を開発中だ。これまでモーターなどの振動を抑制するにはゴムやバネを取り付けるのが一般的だった。両社は部品やフレームに加工を施し、バネなどを使わずに振動を抑制する。機能を付け加えるだけでなく、部品点数を減らしながら成形できるなどメリットも大きい。三菱マテリアルとの資本業務提携やアパレル企業と縫製の手順を減らす開発も行うなど、応用先のすそ野は広い。大手企業向けには開発するソフトウエアのモジュールをカスタマイズ。同社のエンジニアを派遣して開発に取り組む。

また、自らも素材加工を手がける会社と提携し、部材を提供することも視野に入れる。生成する図面が、さまざまな成形機に対応する点をいかし量産まで手がける公算だ。

大嶋CEO

ただ、メタマテリアルを使い量産までこぎつけた事例が少なく、導入までに至らないケースも多いという。大嶋CEOは「製品を量産できれば、機能面以外のメリットも認知してもらえる」と展望する。今後はユースケースを生み出しながら、2026年ごろの新規上場(IPO)を目指す。

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