日産がピックアップトラックの生産を倍増させる狙い
22年内にアルゼンチンで
日産自動車は2022年内にアルゼンチンでピックアップトラックの生産台数を現状比2倍に引き上げる。生産シフトを1直から2直に増やし、最終的に550人を新たに雇用する。環境規制に対応したピックアップトラックの新型車の生産を同国で始める。22年内にブラジル、チリ、コロンビアへの輸出も予定する。南米地域における小型商用車の輸出ハブとしての機能を拡充し、同地域で高まる需要に対応する。
日産はアルゼンチンのコルドバ州にあるサンタ・イサベル工場でピックアップトラック「フロンティア」の新型車を生産し、月内に同国で発売する。新型車は堅ろうで力強い走りに加え、運転支援技術を充実。自動車排出ガス規制「ユーロ6」にも対応し、環境性能も高めた。
最大の輸出先となっているブラジルに加え、チリやコロンビアにも輸出を拡大する。これまでチリやコロンビア向けのピックアップトラックはメキシコで生産していたが、新型車の投入を機にアルゼンチンからの輸出に切り替える。生産量を倍増して対応し、年間輸出台数の3万台以上への拡大を予定する。
日産は15年に南米でのピックアップトラック生産拠点整備のため6億ドル(約760億円)の投資を決定。連合を組む仏ルノーのサンタ・イサベル工場に専用ラインを導入し、18年に生産を開始した。20年には現地サプライヤーの育成などを目的に1億3000万ドルの追加投資を決めた。
日産の21年のアルゼンチンでのピックアップトラックの生産台数は前年比67%増の約1万8600台。うち約1万2400台をブラジルに輸出した。マークラインズによると、日産の21年のアルゼンチンとブラジルでのピックアップトラックの販売台数は、それぞれ同57%増の約5700台、同46%増の約1万1800台だった。
日刊工業新聞 2022年5月26日