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日本の「つながる工場」産学組織、米独と連携。ガラパゴス化避ける

情報収集で終わりではなく、実務的な推進が不可欠
 産学連携組織のインダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI、西岡靖之理事長=法政大学教授)は、製造業にIoT(モノのインターネット)を活用した「つながる工場」の実証と標準化に向け、米独の推進機関と連携を始めた。米電気電子学会(IEEE)と規格づくりで提携したほか、ドイツのIoT推進団体にも連携に向けた協議を始めた。国際標準化などで日米独で歩調を合わせるほか、日本式のモノづくりの強みを反映させる狙いだ。

 IVIは、IEEEのIoT分野に関する作業部会「P2413」に対し、日本で実施しているつながる工場の実証で得た知見を提供していく。作業部会の取り決めは、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が参考にするとされている。

 また4月末にドイツで行われた世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」に、IVIのメンバーが参加し、現地の産学官のIoT推進団体「インダストリー4・0プラットフォーム」と協議を始めた。

 IVIは今秋に設置する「プラットフォーム委員会」にこれら海外機関を招き入れる考え。同委員会は実証試験を行う際、参加企業が自社に優位な仕組みに誘導することがないように、ルールを決めたり監督したりする。

 海外機関が入ることで、この分野で日本のモノづくり文化を踏まえた規格になるよう提案しやすくなるほか、日本が国際的に孤立して「ガラパゴス化」するのも防ぐ狙いだ。
日刊工業新聞2016年5月11日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 これまで着々と相互に繋がる製造設備の国内標準化を進めてきたIVIがここに来て米独とも連携をし始めたことで、現実的課題はあるものの概ね製造設備領域ではIoTの下準備は整いつつある。この勢いを止めぬよう、バリューチェーンの下流にある物流や小売、フィールドサービスにおいても生産性高く仕上がってきたモノを、繋がるネットサービスと併せて提供するイノベーティブなビジネスモデル実現により、IVIの取り組みにもまた新たなフィードバックができることだろう。  それら下流側の製造業にとらわれないイノベーションを目指した活動の推進が待ち望まれる。企業が集まって目的やゴールが明確でないまま情報収集で終わるような活動ではなく、IVIのような実務的推進を行うことができるかが、今後の明暗を分ける。

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