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半導体製造装置市場は好調な台湾・中国に加え、来年は韓国企業も投資に動く

SCREENセミコンダクターソリューションズ社長に聞く
―足元の受注状況は。

「台湾、中国向けを中心に堅調だ。2020年10―12月期は前四半期(591億円)よりも増加し、600億円を超えそうだ。好調なのはロジック。NAND型フラッシュメモリー需要も改善しつつあり、下期の受注をけん引する。半導体前工程製造装置(WFE)市場のフォーキャスト(予測)は右肩上がりの数字が出ており、忙しい状況は当面続くとみている。来年は韓国企業の投資が伝えられており、韓国市場も注視する」

―中国向けの受注が増加傾向です。今後をどう見ますか。

「半導体製造装置事業(SPE)の売上高のうち、21年3月期の中国向け割合はおおむね20%(20年3月期は18%)になりそうだ。増えているのは確かだが今後を一概に予測するのは難しい。急にシュリンク(縮小)することはないと見る。米国がどんな対中政策をとっていくのかなど、業界団体などと連携して動向を探っていきたい」

―ポストセールス事業に注力しています。

「中古機販売や装置改造、消耗品などのポストセールスの売上高比率を、24年3月期に25―30%(現状約20%)に引き上げる目標を掲げる。昨夏に海外現地法人によるユーザーの声を全拠点で共有するシステムを、今春には吸い上げた声を集約してパッケージを作るチームを設計部門の中に作った。顧客の生産性向上、ランニングコスト削減、環境負荷低減をキーワードに、同事業の比率を高める提案を積極的に行う」

―装置据え付けや保守サービスの現地化を進めています。

「コロナ禍以前から進めており、業績への打撃は少なかったが今後もう一歩踏み込む必要がある。セキュリティー面から顧客はリモート監視などをためらう傾向にあるが、事前に警告し、シームレスに稼働できるような機能を活用してもらえるよう促していく」

―過去最高と予測される来年の半導体製造装置市場に期待感は。

「マーケットの拡大はうれしく、期待感はもちろんある。しかし過度に期待しても仕方ない。自社の分析の中でこのくらいだろうというところで準備していく」

【記者の目/盤石な足場固めを】

洗浄装置でシェアトップだが、好調な装置市場にあぐらはかかない。継続的な新機種の研究開発に加え「顧客に長く装置を使ってもらえるよう顧客ニーズに合った装置を提案する」(後藤社長)とマーケット・インの姿勢を崩さない。課題のSPE事業の収益性の改善も進む。米中対立など外部環境が不安定な中、盤石な足場固めに精を出す。(京都・大原佑美子)

日刊工業新聞2020年12月4日