ロボは人の代替にあらず!データ接続こそ命

コネクテッドロボティクス社長・沢登哲也⑥

 私たちコネクテッドロボティクスは「調理をロボットで革新する」をテーマとして事業をしているが、実は「人の仕事をロボットで置き換える」といったことを目指しているわけではない。たしかに人手不足は大きな課題であり、それを解決することが私たちの大切なミッションであるが、「人を使うよりもロボットを使う方がコストが安いからロボを使おう」といった経済性だけを考えているわけではない。

 ロボが社会に普及することによるインパクトはそのような局所的な経済性をはるかに超えた可能性を持っている。なぜならロボは世界中のデータに常時接続し、一瞬で反応することができるからだ。つまりロボにできて人にできない、という最も大きな特徴はインターネットに直接つながるということである。これが実はロボを使う一番の理由だと私は考えている。世界中から集めたデータ、知能、そしてスキルを活用して働くということがロボにはできるわけだ。


 例えば、私たちはロボをキッチンで使い、調理という作業をロボにさせている。だが、実は私たちがやりたいのはこの調理ノウハウを蓄積することだけでなく、共有する仕組みを作りたいのである。ロボ同士が遠隔でノウハウを共有したり、ロボと同じ場所にある冷蔵庫やフライパンやエアコン、スマートフォン、車といったあらゆるものが連動したりすることで思いもよらなかった世界が実現する。いつもでもどこでも好きな時に好きなものが食べられる世界がやってくる。

 このような究極のIoT(モノのインターネット)化された社会はまだまだ先のように思えるが、意外に早くやってくるかもしれない。例えば、昨年中国で始まったばかりの「luckin coffee(瑞幸珈琲)」というコーヒー店は1年で1400店を出店した。信じられない速度で出店しているが、秘訣(ひけつ)はIT化にある。安くておいしいコーヒーがスマホから注文して簡単に受け取れる点がそれである。おいしいコーヒーを買うのに並んで待つ必要がないわけだ。たったこれだけのことかと思うかもしれないが、世の中はどんどんシームレスでなめらかな方向へとシフトしている。効率と快適性が共存する世界である。

 そんな世界で、ロボはそれぞれの役割を担い、他のデバイスたちと一丸となって作業をしてくれるはずである。私たちもその文脈の一環として、家庭で朝起きるとできたての朝食が準備されている、という「朝食ロボシステム」を現在開発している。(全8回、毎日掲載)

日刊工業新聞2019年1月11日(ロボット)

  

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