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キノコ栽培後の捨てられる菌床から希少糖を生産へ

信光工業と東京理科大などが連携
キノコ栽培後の捨てられる菌床から希少糖を生産へ

エノキタケ栽培ボトルの断面(手を添えた部分が培地〈菌床〉)

 信光工業(長野市、荒井亮治社長、026・221・1280)と東京理科大学発ベンチャーのアクテイブ(千葉県野田市)など5社・機関は連携し、キノコ廃培地から高純度の希少糖を生産する技術を開発する。大量に廃棄される廃培地を有効活用し、健康志向を背景に需要が膨らむ希少糖の安価な生成につなげる。信光工業に実証装置を設置して2022年度めどの実用化を目指す。

 開発に取り組むのは2社のほか、信光工業のグループ会社でキノコ栽培を手がけるキノコ村(長野市)、東京理科大学、支援機関の長野県テクノ財団。2018年度の経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)に採択された。

 製品化の工程は2段階。まずオガやトウモロコシの芯を粒状にしたコーンコブをベースに菌床用に使われた培地を糖化処理によって分解し、グルコース、キシロースを抽出する。これら単糖から光触媒反応による糖変換技術で希少糖を得る。

 今回新設するのは、廃培地を粉砕して糖化法で処理して精製する装置。処理能力は1回当たり廃培地50キログラムで11月中に稼働させる。21年度までのサポイン期間内に補助金を合わせた投資額として約1億3000万円を予定する。技術は他のバイオマスにも応用可能。

 希少糖は砂糖に似た味ながら体内では代謝されず、カロリーはほぼゼロ。単糖から希少糖を得る技術は東京理科大の阿部正彦教授らの研究グループが開発済み。ただ、安価な生成には単糖を効率的に得る技術が課題になる。

 長野県は全国有数のキノコ産地。同県は中期的な産業政策として廃培地を活用した産業創造と集積を目指し、22年度までの3年間累積で抽出希少糖の売上高5000万円、廃培地処理量7000トンを目標に掲げている。
日刊工業新聞 2018年10月17日