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“新しい自動車社会”を世界に発信する旭化成

アイコン・吉野氏「自動運転EVの世界に変わる」
“新しい自動車社会”を世界に発信する旭化成

アクシーの内観

 【独デュッセルドルフ=鈴木岳志】旭化成はドイツ・デュッセルドルフで現地時間の19日に自動車業界関係者らを集めたビジネスフォーラムを開催した。大きな目玉はリチウムイオン電池発明者で名誉フェローの吉野彰氏の講演と、欧州初披露のコンセプト電気自動車(EV)「AKXY(アクシー)」だった。

 吉野氏は「リチウムイオン電池と自動車社会の未来」と題して講演した。2025年以降のシナリオとして「AIEV(全自動運転EV)の世界に変わる。現在のプライベートカーの代替で個人所有ではなくシェアリングになる」と語った。

 加えて「この話をすると自動車産業の方々は嫌がるが、つくった車を使ってビジネスがいろいろ広がるのだから頭を切り替えてほしい」と訴えた。

 コンセプトEVのアクシーは電池材料や樹脂、電子部品など35品目を搭載した独自技術のショーケースだ。今回を皮切りに欧州で個別顧客への自社展示会などに活用する。吉田浩専務執行役員は「イノベーションの発信地である欧州、特にドイツにフォーカスして事業を強化していく」と断言した。

 ビジネスフォーラムは17年に続く2回目で、顧客を中心に約200人が参加した。欧州市場で低い知名度の向上を主目的に、自動車と環境に的を絞ってマーケティング活動を強化している。
日刊工業新聞2018年9月21日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
旭化成の自動車事業強化に勢いがついている。2025年以降にプライベートカーが代替され、シェアリングい変わるというメッセージはやや物事を単純化しすぎているが、この双方が複雑化しながら成長することは間違いないだろう。その変革へのソリューションを提供でき付加価値を奪っていけるのが、素材会社やティア2である。クルマがコモディティ化するのではなく、再び、成長商品に変わっていることを認識したい。

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