ジェンガで人とロボットが勝負、1勝44敗で完敗したのはどっち?

 1勝44敗―。多軸ロボットが人とジェンガの引き抜きで勝負した結果だ。筑波大学システム情報系知能機能工学域の相山康道教授の研究室は、視覚と力覚を使って多軸ロボットでジェンガのブロックを引き抜く技術を開発した。だが、人と勝負すると勝てない。少しでも人に近づけるよう、日々研究を続けている。

 相山教授の研究室は、ロボットの手に当たる部分を制御するマニピュレーション・システムを研究している。ロボットにとって、持つ対象物が何処にあるか分からない、場所は分かるが誤差があるといった場合の作業は困難を伴う。

 そうした難しい作業を多軸ロボットに行わせようというのが大きなテーマだ。

 ロボットにとってかなり難しいのが、ブロックの引き抜きだ。積み重なったブロックのタワーから下のブロックを抜くとき、上からブロックの力がかかり、無理に力をかけると他のブロックがついてきて倒れてしまう。

 相山教授らは、ブロックをつまむツメに3次元力覚センサー、手首に6次元力覚センサーを装着。カメラとレーザー距離計による計測データも加え、引き抜きたいブロックにかかる上からの力を算出して、タワーを崩さず引き抜く技術を開発した。

 ロボットのアームで2カ所からカメラで撮影。計測した配置を基に力学モデルを作成して計算する。そのデータから引き抜き候補のブロックを見つけて距離を測りつつ、引き抜く。視覚と力覚を統合して器用な操作を実現した。

 相山教授によると、ロボットだけでも、ロボットと人が交互に引き抜いても「10数個から20個は引き抜けた」と言う。だが、抜いたブロックを上に積み上げていって人と対戦すると負けばかり。「さらに器用にするにはもっと戦略が要る」と苦笑する。

 ロボットは最近、人工知能(AI)の進化で画像や音声認識のほか、データ分析といった頭脳の部分が進化した。一方で、手や脚は物足りない状況が続く。

 相山教授も「例えば食品工場で使う場合、シートを敷くとか、分量別に分けるとかものすごく大変。コストも考えると10年はかかる」と、動きの部分で社会に役立つには時間がかかるとする。だが、ロボットの活躍の場を広げたいとマニピュレーションの研究を地道に続けていく。
(文=石橋弘彰)

日刊工業新聞2017年12月8日

石橋 弘彰

石橋 弘彰
12月10日
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将来は、研究室の知見を生かしてシート状の対象物を折りたたむことや、ケーブルを穴に差し込むといった「柔軟物をロボットで上手に操作したい」(相山教授)としている。

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