ニュースイッチ

「恋するドキドキ」の正体、解明される―理研

ドーパミン神経活性化
 理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの渡辺恭良チームリーダーらは、恋愛することで活発に働く脳の領域を解明した。恋人を見てドキドキすると、脳の大脳皮質内の2カ所で神経伝達物質「ドーパミン」を放出する神経が活性化していることを、陽電子放射断層撮影(PET)を使った実験で明らかにした。欲求が満たされたり褒められることを行動や学習の動機につなげる「報酬系」の脳の領域が活性化したことから、ヒトの恋愛感情は報酬系と同じ神経の仕組みを共有している可能性を示した。

 英ロンドン大学、大阪市立大学との共同研究。成果はスイス・オンライン科学誌フロンティアーズ・イン・ヒューマン・ニューロサイエンスに掲載された。
 異性と熱愛中の平均年齢27歳の男女10人を対象に、「恋人」と「恋人と同性の友人」の写真をみせた際の脳内のドーパミンの放出の違いをPETで測定した。恋人の写真をみせた時、脳の目の裏側にある「内側眼窩(ないそくがんか)前頭野」と、目の上側にある「内側前頭前野」でドーパミン神経が活性化していることを確認した。

 さらにPETによる実験を終了した後、両端に「気持ちの高まり全くなし」と「経験しうる最大の気持ちの高まり」と書かれた100ミリメートルの長さの線分に写真を見た時の気持ちに対応する線上の位置を記させ“ドキドキ感”を数値化した。友人の写真に比べ、恋人の写真をみせた時のドキドキ感は平均で約4倍になった。
 PETとの結果と併せ解析したところ、内側眼窩前頭野のドーパミン神経が活発に働くほど、恋人へのドキドキ感が高まることを明らかにした。
日刊工業新聞2015年05月18日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
少女マンガでもそのうち「あの人を見ると、胸がドキドキするの…」的なセリフが「あの人を見ると、脳内でドーパミン神経が活発に働くの…」になるかもしれません。

編集部のおすすめ