外国人雇用労務者育成へ厚労省が一手
厚生労働省は2023年度から、外国人労働者の雇用労務責任者の育成事業に乗り出す。雇用労務責任者(人事課長など)を対象に講習カリキュラムを策定。カリキュラムに基づき、雇用管理全般に関する知識やノウハウを取得するための講習を全国の5地域で試行的に実施する。事業成果や課題などを報告書にまとめ、他の自治体などへの横展開を図る。
日本での外国人労働者数は現在、約173万人と過去最高となっている。ただ外国人の雇用は、人手不足の解消の一助になるとの期待がある半面、採用ノウハウの不足や受け入れ手続きなどが課題であり、特に中小企業にとっては不安が大きい。
このため、厚労省は指針で選任が求められている雇用労務責任者(人事課長など)を対象に講習を実施し、雇用管理改善の取り組みと外国人労働者の職場定着の促進を図っていく。
講習カリキュラムについては、学識経験者らで構成する「外国人労働者労務責任者講習検討会(仮称)」を発足させ、雇用労務責任者に関する講習カリキュラムを23年度中に策定する。
人手不足に対応した外国人材の受け入れについては、「受け入れた外国人材が都市部に集中する」「中小企業では雇用管理に関する知識・ノウハウが十分ではない」といった指摘もある。
これを受けて、厚労省は受け入れ・定着に積極的な北海道、群馬、福井、岐阜、鹿児島の5地域をモデル地域として選定。当該モデル地域と都道府県労働局が地域の特性を生かしつつ「働きやすい職場」「住みやすい職場」をつくることで、外国人材が円滑に職場・地域に定着できるように協調して施策を実施する。
日刊工業新聞 2022年11月04日