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色とにおいで劣化を把握、大林組の「摩耗検知ビット」がトンネル工事で解決する課題

色とにおいで劣化を把握、大林組の「摩耗検知ビット」がトンネル工事で解決する課題

設定した摩耗量に到達した際の染料の排出状況

大林組はトンネル工事で用いるシールドマシンのカッタービット向けに、摩耗状況を色とにおいで把握できるようにした「摩耗検知ビット」を開発・実用化した。摩耗量が設定値に達すると地山に染料や香料を噴き出し、掘削した土砂に色やにおいを付ける仕組み。ケーブルや配管は不要で、複数台を装備できる。シールドマシンから離れていても確認できるため、カッターの健全度を把握しやすい。

開発・実用化に当たり、東京大学大学院・新領域創成科学研究科の協力を受けた。付着させた染料(蛍光塗料)はベルトコンベヤーやずり鋼車、土砂ピットなどで確認できる。

併せて有機溶剤を含む香料も噴出することで、シールド坑内にいる複数の工事関係者が摩耗状況を直感的に把握できるよう工夫した。紫外線(UV)ライトの照射などにより、機械的にも確認できる。

カッタービットの摩耗をめぐっては、電気の導通や油圧の低下により把握する手法が一般的。だがシールドマシンに情報を伝えるためのケーブルや配管が必要で、装備できる台数が限られるため摩耗状況を正確に把握できない課題があった。

日刊工業新聞2022年10月4日

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