上場企業で最も平均年収が高かった業種は建設業だった!
ゼネコンが全体を押し上げる、唯一700万円台超え
東京商工リサーチは2017年3月期決算の上場企業2172社の平均年間給与が前期比0・6%増の628万1000円だったとする調査結果をまとめた。11年3月期から7期連続プラスとなったが、伸び率は13年3月期以来の1%割れとなった。
平均年間給与が前年を上回ったのは1312社と、全体の60・4%を占めた。だが、平均年間給与が増えた企業数は2期連続で減少しており、ピークだった15年3月期に比べ185社減った。前年を下回った企業は844社、横ばいは16社だった。844社のうち従業員数が増えたのが525社。採用増も伸び率鈍化に影響したとみられる。
市場別の年間平均給与は、東証1部が676万2000円。次いでマザーズが624万2000円、地方上場が559万1000円だった。最低はジャスダックの542万3000円となった。
業種別のトップは建設業で前期比3・1%増の711万8000円。活発な建設投資を背景に好決算が続出した上場ゼネコンが平均給与を押し上げ、全業種で唯一700万円台に乗せた。
以下、水産・農林・鉱業が同0・8%減の694万6000円、金融・保険業が同1・8%減の694万円。最低は7期連続で小売業となり、同0・4%増の515万3000円だった。
個別企業のトップはTBSホールディングス(HD)。以下、朝日放送、フジ・メディアHDとメディア関連が上位を独占した。
東京商工リサーチは輸出を手がける東証1部の大手と、中堅企業や金融、内需型産業など規模や業種による格差が鮮明になったと指摘。人件費上昇と収益確保が重い課題となり、今後の企業の成長と平均給与の伸び率の動向が注目されるとした。
ゼネコン大手4社の2018年3月期連結決算業績予想は、3社が営業利益段階から減益。鹿島と清水建設は、労務費や資材費のコスト増を減益要因にあげる。大成建設は前期から追加工事の費用獲得を除いたことが大きいとする。一方、大林組はコスト増を生産性向上などで吸収できると判断し、利益は横ばいを想定する。各社、コスト上昇リスクの織り込み方が分かれた格好だ。
2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、大型工事が今夏以降から本格化する見込み。懸念されるのが、労務費や資材費の上昇だ。
大林組を除く3社は今期、一転して営業利益段階以下の減益を予想。鹿島の高野博信取締役専務執行役員は「今後のコスト上昇を懸念して、利益率を慎重にみた」と説明する。
清水建設も労務費と資材費の上昇を危惧する。工事の大型化により、追加費用の受け取りが来期以降に遅れることも、減益の要因にあげる。
大成建設も減益を予想するが「コストの増加というより、追加工事(の費用)を見込めない」(桜井滋之副社長)点を強調。
労務費のコスト増以上に、前期に計上した追加工事の費用を、現時点で確定できないため数字上は減益になるとする。
一方、大林組は、労務費や資材費の上昇はほぼ影響ないと想定する。建物の構造に技能労働者が少なくてすむ鉄骨造が増えており、型枠や鉄筋などの工種で少し余裕が出る。資材は鉄鋼関連がやや強含みで推移するとみるが、受注価格に織り込んでいる。
ゼネコン準大手・中堅11社の2018年3月期連結決算は、7社が営業減益を予想する。労務費や資材費の上昇が利益率を押し下げ、工事の大型化に伴う収益時期の後ずれが減益要因になるとみる。
ただ、工事の採算は高水準を維持。増益要因となる追加工事の費用獲得は現時点で見込めないため、見た目の数字ほど悪くならない可能性がある。
戸田建設の鞠谷祐士専務執行役員は18年3月期の営業減益予想について「採算が悪い工事があるわけではないが若干資材が上がっている。現在持っている大型工事が(収益に)寄与するのは18年度以降」と説明する。建設事業の単体の売上総利益率は、今期は前期比1・5ポイント減少する見込みだが、10・4%と2ケタを維持する。
フジタの宮本具幸管理本部経理部長は「資材は上がり基調」と見る。「労務も躯体だけではなく、仕上げでも人が集めにくくなっている」とコスト上昇を懸念する。建設事業の売上総利益率は前期より下がるものの、11・2%の高水準を計画する。
熊谷組の日高功二常務執行役員は労務費について、上昇リスクを危惧しながらも「大きく上がるとは見ていない」と説明する。現時点で、追加変更の費用獲得が見込めない点を減益理由にあげる。
平均年間給与が前年を上回ったのは1312社と、全体の60・4%を占めた。だが、平均年間給与が増えた企業数は2期連続で減少しており、ピークだった15年3月期に比べ185社減った。前年を下回った企業は844社、横ばいは16社だった。844社のうち従業員数が増えたのが525社。採用増も伸び率鈍化に影響したとみられる。
市場別の年間平均給与は、東証1部が676万2000円。次いでマザーズが624万2000円、地方上場が559万1000円だった。最低はジャスダックの542万3000円となった。
業種別のトップは建設業で前期比3・1%増の711万8000円。活発な建設投資を背景に好決算が続出した上場ゼネコンが平均給与を押し上げ、全業種で唯一700万円台に乗せた。
以下、水産・農林・鉱業が同0・8%減の694万6000円、金融・保険業が同1・8%減の694万円。最低は7期連続で小売業となり、同0・4%増の515万3000円だった。
個別企業のトップはTBSホールディングス(HD)。以下、朝日放送、フジ・メディアHDとメディア関連が上位を独占した。
東京商工リサーチは輸出を手がける東証1部の大手と、中堅企業や金融、内需型産業など規模や業種による格差が鮮明になったと指摘。人件費上昇と収益確保が重い課題となり、今後の企業の成長と平均給与の伸び率の動向が注目されるとした。
日刊工業新聞2017年7月27日
業績は転換点
ゼネコン大手4社の2018年3月期連結決算業績予想は、3社が営業利益段階から減益。鹿島と清水建設は、労務費や資材費のコスト増を減益要因にあげる。大成建設は前期から追加工事の費用獲得を除いたことが大きいとする。一方、大林組はコスト増を生産性向上などで吸収できると判断し、利益は横ばいを想定する。各社、コスト上昇リスクの織り込み方が分かれた格好だ。
2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、大型工事が今夏以降から本格化する見込み。懸念されるのが、労務費や資材費の上昇だ。
大林組を除く3社は今期、一転して営業利益段階以下の減益を予想。鹿島の高野博信取締役専務執行役員は「今後のコスト上昇を懸念して、利益率を慎重にみた」と説明する。
清水建設も労務費と資材費の上昇を危惧する。工事の大型化により、追加費用の受け取りが来期以降に遅れることも、減益の要因にあげる。
大成建設も減益を予想するが「コストの増加というより、追加工事(の費用)を見込めない」(桜井滋之副社長)点を強調。
労務費のコスト増以上に、前期に計上した追加工事の費用を、現時点で確定できないため数字上は減益になるとする。
一方、大林組は、労務費や資材費の上昇はほぼ影響ないと想定する。建物の構造に技能労働者が少なくてすむ鉄骨造が増えており、型枠や鉄筋などの工種で少し余裕が出る。資材は鉄鋼関連がやや強含みで推移するとみるが、受注価格に織り込んでいる。
準大手・中堅は
ゼネコン準大手・中堅11社の2018年3月期連結決算は、7社が営業減益を予想する。労務費や資材費の上昇が利益率を押し下げ、工事の大型化に伴う収益時期の後ずれが減益要因になるとみる。
ただ、工事の採算は高水準を維持。増益要因となる追加工事の費用獲得は現時点で見込めないため、見た目の数字ほど悪くならない可能性がある。
戸田建設の鞠谷祐士専務執行役員は18年3月期の営業減益予想について「採算が悪い工事があるわけではないが若干資材が上がっている。現在持っている大型工事が(収益に)寄与するのは18年度以降」と説明する。建設事業の単体の売上総利益率は、今期は前期比1・5ポイント減少する見込みだが、10・4%と2ケタを維持する。
フジタの宮本具幸管理本部経理部長は「資材は上がり基調」と見る。「労務も躯体だけではなく、仕上げでも人が集めにくくなっている」とコスト上昇を懸念する。建設事業の売上総利益率は前期より下がるものの、11・2%の高水準を計画する。
熊谷組の日高功二常務執行役員は労務費について、上昇リスクを危惧しながらも「大きく上がるとは見ていない」と説明する。現時点で、追加変更の費用獲得が見込めない点を減益理由にあげる。
日刊工業新聞2017年5月15日/16日