富士通と伊藤園が開発、茶葉の収穫期を判定する「AI」が動き出す
富士通と伊藤園は、人工知能(AI)画像解析によって、茶葉の摘採(収穫)時期を簡便に判断する技術を共同開発し、伊藤園が手がける茶産地育成事業の契約産地で試験運用を始める。2022年の新茶摘採から撮影対象地域などを拡大し、画像認識アルゴリズム(計算手順)の正確性や実用性を検証。23年から契約産地での本格展開を目指す。
スマートフォンで撮影した茶葉の画像をクラウド上でAI解析する仕組み。富士通鹿児島インフォネット(鹿児島市)の画像解析技術と富士通のAIを活用。伊藤園の茶葉栽培に関する知見を組み合わせることで、摘採前の茶葉の画像からアミノ酸量や繊維量を分析する画像認識アルゴリズムを開発した。
アルゴリズム開発に当たり、約2年をかけて契約産地の一部で撮影した4000枚規模の茶葉の画像を基に、色味調整などの加工を施した計約8500枚の画像を用いてAI学習を行った。生産者の高齢化や後継者不足といった状況を踏まえ、茶農業への新規参入の障壁となる課題を解決し、生産力向上と持続性の両立を支援する。
日刊工業新聞2022年5月17日