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日本製紙が100億円で段ボール新工場を建設する狙い

日本製紙が100億円で段ボール新工場を建設する狙い

日本製紙の野沢徹社長

日本製紙は豪州で段ボールの原紙から製品までの一貫体制を軌道に乗せる。豪ビクトリア州で約100億円を投じ、新たな段ボール工場を建設する。2023年6月にも稼働し、農産物や食肉、飲料向けなど底堅い段ボール需要に対応する。日本製紙は印刷・情報用紙の先細りでパッケージなど生活関連事業を成長領域としており、豪州の包装事業はその中核。25年度にはこれら生活関連の営業利益で20年度比3倍増の275億円を目指す。

日本製紙は段ボール原紙を生産するが、加工は手がけていなかった。20年に豪州子会社を通じ、現地大手のオローラから豪州の包装部門などを約1243億円で買収。豪州子会社が扱う原紙と、高付加価値の段ボールの一体運営を推進する。

建設する段ボール工場は買収・再編後では初の拠点整備となる。年産能力は約9800万平方メートル程度で、22年3月にも着工する。

原紙工場に近いため、資材調達や物流、販売コストの相乗効果を引き出す。現在、段ボール工場が豪州に8拠点、ニュージーランドに3拠点あり、新段ボール工場整備を機に拠点間の有機的連携を強化する考えだ。原紙側と加工側の人材交流も進める。

日本製紙の連結売上高の約56%は紙・板紙(20年度実績)。ただ印刷・情報用紙などの需要が減少しており、海外包装事業などに活路を見いだしている。

王子ホールディングスやレンゴーも、海外での包装事業を強化している。日本製紙の野沢徹社長は「一貫生産で相乗効果を高め、輸出を含む海外売上高比率を現状約2割から3割以上に高めたい」としている。

日刊工業新聞2022年2月8日

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