次世代電池や半導体に貢献する、最先端のナノテクをまるっと紹介

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東レはCNTを用いてフィルム上に半導体を塗布形成する技術を確立

持続可能な社会の実現に向け、カーボンナノチューブ(CNT)をはじめとするナノ技術(ナノは10億分の1)の研究開発が活発化している。超微細構造により素材に新たな機能を持たせ、次世代電池や半導体、センサーなどのエネルギー利用の効率化に貢献する。東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の展示会「nano tech2022」に集まる最先端技術を追った。(梶原洵子)

超微細構造で素材に新機能

足元でリチウムイオン電池用導電助剤としてCNTの利用が広がってきたことで、高機能なナノ材料への期待は一層高まっている。

日本ゼオンの単層CNTは、紙すきの要領でCNT100%のシートに加工できる

日本ゼオンは単層CNTを次世代電池であるリチウム空気電池やリチウム硫黄電池の電極材料として提案する。同社のCNTは長いため、“紙すき”の要領でCNT100%のシートを作製できるというユニークな特徴を持つ。CNTの絡み合った内部構造に大量のリチウムイオンを出し入れでき、電池性能を高められるという。

既存の短い複層CNTに対し、単層CNTは製造が難しい分、高い機能を発揮できる。「産業技術総合研究所との研究で単層CNT技術をリードしている」(日本ゼオン担当者)といい、単層CNT特性を生かした多様な用途を開拓する。

CNTは構造の違いによって導電素材や半導体として利用できるが、東レが注目するのが半導体だ。数年前に半導体に向くCNTを効率的に得ることに成功。この半導体CNT技術をベースに、このほどフィルム上に半導体回路を塗布形成する技術を確立した。

次世代電池などエネ利用効率化

「CNTはシリコンを上回る半導体特性のポテンシャルがある。海外ではCNTで高性能半導体を目指す動きもある。当社は塗布によって簡便に提供できる半導体を実現したい」(東レ担当者)。

エンジン部品メーカーのTPRは、新事業としてCNTに取り組む。同社のCNTはミリオーダーの長さが特徴。基板上に成長させたCNTは、短い繊維形状での利用だけでなく、端部から引っ張ることで他社にない糸状への加工ができる。作り方は蚕のまゆから絹糸を作る方法と同じだ。CNT糸に各種ドーピングを施してp型/n型半導体とし、人の体温で発電できる熱電変換素子として利用する提案を始めた。

日本製紙など製紙各社が取り組むセルロースナノファイバー(CNF)は、新たな軽量化部材として量産化が近づいてきた。CNFは鉄の約5分の1の軽さで5倍の強度を持つとされ、樹脂の補強材として期待される。

繊維商社のヤギは、信州大学や韓国企業と連携し、ナノファイバー事業に取り組む。信州大学が長年研究してきたエレクトロスピニング法(電界紡糸法)が技術基盤となっている。コロナ禍で注目を浴びた高機能マスクに続き、ナノファイバー膜の拡大を目指す。この膜は水を通さないが、通気性が高い。電子機器や自動車の電装部品を保護する用途での利用を見込む。

ナノ技術による省資源かつ高機能な製品の実用化が期待される。

日刊工業新聞2022年1月27日

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