商品情報や申し込み欄を1画面に。凸版印刷の「狭く・するどく」売るECサービス
凸版印刷は1商品の販売に特化した電子商取引(EC)サイトの開設・運営サービス「ec―lite(イーシーライト)」を展開している。“狭く・するどく”売ることに限定したサービスは、導入・運用負担の少なさも相まって支持を増やしている。
同サービスは2017年7月に開始した。商品情報や申し込み欄などを1画面に集約し、限定品の販売などの用途を想定している。機能を絞ってパッケージ化しているため、サイト公開までの準備期間が1―2カ月程度と短い。導入コストも通常のECサイトに比べ約10分の1で済む。
当初は出版社向けに、はがきの申し込みが一般的だった雑誌の応募者全員サービスのデジタル化で提案した。サイト構築や入金確認など裏方の業務は凸版印刷が担うため、出版社側は企画などの業務に専念しやすい。
今では製造や金融などでも採用が進み、用途も広がっている。イーシーライト単独の売り上げはまだ小さいが、製造や業務委託(BPO)などの幅広い事業と組み合わせて提案でき、総合印刷の強みを出しやすい。新型コロナウイルス感染拡大で引き合いが増えており、DXデザイン事業部セキュアビジネスセンタービジネス推進本部の小山正宣本部長は「規模拡大の検討に本腰を入れる段階が来た」と意気込む。
機能の高度化や決済手段の拡充など課題はあるものの、機能が増えるほど競合との差別化が難しくなる側面もある。ギフトカード関連の既存事業を生かした決済の仕組みなど、独自性を出せるアップデートを探っている。(国広伽奈子)
日刊工業新聞2020年12月18日