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健康志向を追い風にサプリ好調、ファンケルの次ぎの一手は?

島田和幸社長に聞く
健康志向を追い風にサプリ好調、ファンケルの次ぎの一手は?

島田和幸社長

 ファンケルは健康意識の高まりを受け、事業を成長させている。広告投資の増加や販売チャンネルの拡大により、2017年3月期の売上高は11年ぶりに過去最高を更新した。さらなる成長を目指し、18―20年度の中期経営計画をスタート。新設備による生産増や海外展開、販売チャンネルの連携で増益につなげる。島田和幸社長に展望を聞いた。

 ―外国人観光客のお土産需要もあり、サプリメントの売り上げが好調です。

 「特に20―60代の男女ごとに必要な栄養素をセットにした『年代別サプリメント』の人気が高まっている。さらなる売り上げ拡大を目指し、18年度内には横浜工場(横浜市栄区)に従来より高速の生産機械を2台導入。生産能力を約2倍に引き上げる。今後は生産設備の自動化、ロボット化なども進めたい」

 ―海外市場をどう開拓しますか。

 「植物由来のスキンケア商品の海外向けブランド『ボウシャ』は、すでに進出している北米やアジアに加え、18年度は欧州、中近東にも店舗を増やす。今後3年間で、売上高1・5倍を目指す」

 「中国では、17年に国営医療・ヘルスケアグループ中国国際医薬衛生公司(国薬国際、北京市)と健康食品の代理店契約を結んだ。同社が経営する病院や検査機関などでファンケルのサプリを提供したい。中国は予防医学の考えが強く市場も大きい。販売許認可の取得などがあるため、早くて20年度の販売になるが期待している」

 ―研究開発にどう取り組みますか。

 「研究開発費は売り上げに対して約3%。無添加にこだわった化粧品をはじめ商品開発で他社との差別化を図っており、この数字は維持したい。海外展開に伴い、国ごとの需要や制限にも対応する必要がある」

 ―ネットチャンネルでの販売戦略は。

 「ファンケルは約20年前からネット通販を手がけるが、最近はスマートフォンのアプリなどさらに利便性が向上している。カタログ通販から徐々にネットにシフトし、コスト削減分をシステム開発に充てたい」

 「7月から電話、ネット、店舗の各販売チャンネルのシステムを統合させ、リアルタイムに販売履歴などを更新できるよう連携した。これによりチャンネルをまたいでおすすめ商品情報などを提供できる。また自社でのシステム基盤ができることで、今後は外部通販との連携もしやすくなり、さらに細やかな商品提案ができる」
日刊工業新聞2018年7月30日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ファンケルは18年度内に、ネットなどで問診を行い顧客ごとに必要なサプリを提供する「パーソナルサプリメント」を発売予定。オーダーメードサービスで他社と差別化する考え。「人生100年時代」と言われ健康志向や予防の意識が高まる中「サプリといえばファンケル」の存在になることで成長を実現する。 (日刊工業新聞社横浜支局・増田晴香)

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