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営業益5000億円へ、富士通は巨大IT企業とどう戦うか

富士通は24日、2025年度に調整後連結営業利益5000億円(22年度比1・5倍)の達成に向けて、社会課題解決型ソリューションを中心とする新事業ブランド「ユーバンス」の売上高を今後3年間で現行比3・5倍の7000億円、30年度には1兆円超を目指す方針を示した。課題とする営業利益率も25年度に12%(22年度比3・4ポイント増)を目標とし、巨大IT企業とグローバルでの戦いに挑む。

同日開いた新中期経営計画の説明会で、時田隆仁社長が明らかにした。新中計では連結売上高について、年平均4%の成長を想定。24年度には連結売上高が17年度以降7年ぶりに4兆円の大台回復が射程に入る。最終年度の25年度には同4兆2000億円(22年度は3兆8600億円)を見込む。

また、23年4―6月期からセグメントも変更。主力事業を大くくりで束ねていた「テクノロジーソリューション」を「サービスソリューション」と「ハードウエアソリューション」に二分し、収益性を明確化した。

サービスソリューションは25年度に売上高2兆4000億円(22年度は2兆円)、調整後営業利益が3600億円(同1600億円)、営業利益率は15%(同8%)を目標とする。その実現に向けて、ユーバンスのてこ入れなどにより「25年度までに1万人のコンサルティング体制を築く」(時田社長)。

新中計では「成長投資の拡大と最適な資産配分によって、企業価値を高める」(磯部武司取締役)。今後3カ年の目標として、リース料を加えたキャッシュフロー(CFC)ベース(累積)で前3カ年実績の2倍となる1兆3000億円を稼ぎ出す予定。うち7000億円は事業成長投資に、6000億円は配当など株主還元に配分する計画だ。

時田社長は新中計について「30年のあるべき姿に向けて、持続的な成長や収益力向上に向けたモデルを構築する3カ年だ」と位置付けた。


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日刊工業新聞 2023年05月25日

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