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「ホンダジェット」シェアに勝機あり、ホンダが見出す根拠

「ホンダジェット」シェアに勝機あり、ホンダが見出す根拠

4輪車などのサービスと組み合わせ、シームレスな移動を支援

ホンダは2023年に国内で、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」のシェアリングサービス事業に乗り出す。定期航空便がない地方などをつなぎ、自社で展開しているレンタカーやカーシェアのサービス「エブリゴー」などとも組み合わせ、シームレス(継ぎ目なし)な移動を支援する狙い。陸で進めてきたMaaS(乗り物のサービス化)を空に拡充する。(江上佑美子)

「4輪車、2輪車など多様なモビリティーを展開し、地域を巻き込んだ事業の実績もあるホンダだからこそ、ビジネスジェットを身近な存在にできるのではないか」。同事業を担当する新事業開発部モビリティサービス企画課の井上大輔チーフは自社の総合力をこう強調する。10月から約半年間、企業や自治体と協業してサービスを実証し、事業の詳細を詰める。

ホンダは06年に航空機市場への参入を発表。以後13の国・地域で型式証明を取得し、ホンダジェットを約220機販売した。井上チーフは「ハードウエアを作ることがゴールではない。より多くの人が使える乗り物にしたい」とシェア事業への意気込みを語る。

同事業でホンダが勝機を見いだす根拠は、自社運営によるコストメリットを出せる点だ。機体は自前であり、運航は子会社の本田航空(埼玉県川島町)が担う。日本で他社が提供しているビジネスジェットチャーターサービスの価格は1時間当たり100万―150万円程度だが、これを下回る価格での提供を目指す。

“タイムパフォーマンス”の良さも魅力に掲げる。熊本空港―大分空港間の移動の場合、新幹線などの公共交通機関を使った場合は5時間程度かかるが、空路なら30分程度で済む。巡航中は近距離無線通信「Wi―Fi(ワイファイ)」を使用し、引き出し式のテーブルを用いた会議もできる。エンジンを胴体ではなく主翼上面に配置しているため、静粛性が高いというホンダジェットの特徴を生かす。

エブリゴーなどを活用し、到着後は横付けされた車ですぐに目的地に向かうことも可能だ。当面はBツーB(企業間)を主眼に置くが、旅行などBツーC(対消費者)での需要も取り込む。

「一般的なMaaSは、スマートフォンを中心にモビリティーをつなぐという認識。ホンダは既存のモビリティーにも工夫の余地があるという考え方から進めている」(井上チーフ)。“製造業ならではのMaaS”を模索し、新たな市場を開く考えだ。


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日刊工業新聞2022年10月5日

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