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ロボット警備員出動!

ALSOKが描くロボット事業とは
ロボット警備員出動!

鈴木一三氏

 綜合警備保障(ALSOK)がロボット関連事業を拡大させている。2002年に警備・案内用ロボを発売して以来、商業施設、公的施設、金融機関など多種多様なユーザーに製品を納入。また、案内や受付の専用ロボなど、警備向け以外の展開にも積極的だ。さらに14年には飛行ロボット(ドローン)市場への参入を表明。屋外施設の点検業務などを想定した新事業として注目されている。鈴木一三開発企画部長に聞いた。

 ―警備ロボットの役目とは。
 「休憩が必要ない点と、監視など各種作業の正確性がロボットの強み。導入することで4人だった配置人員を2―3人にするなど、省人化がまず可能になる。またカメラで異常などを検知するため、人のように見落とすリスクも少ない。通常の監視カメラだと死角ができるが、移動型ロボならばくまなくチェックできる。導入先の商業施設では万引被害が減っているという」

 ―人とロボットの協働を提唱しています。
 「ロボットに全てを任せるのは非現実的。人と同様に得意と不得意がある。例えば、現状では非常時の対応をロボットが担うのは困難だ。4月に発売した最新版の『リボーグ―X』ではテレビ電話機能を追加するなど、人が同時に働くことを想定して開発している」

 ―ドローン参入の狙いは。
 「走行型ロボでは限界のある屋外施設に対応しやすいのが理由。ドローンを用いた大規模太陽光発電所の保守サービスを4月から本格的に始めた。空撮画像から故障箇所を素早く特定し、保守の作業性を大幅に改善できる。このほか、屋外駐車場の利用状況を上空から検知して誘導業務を効率化するといった活用法も有効だ」

 ―国への要望は。
 「ロボットの普及に向けた法改正が求められている。特に電波法については上空で利用できる周波数帯が厳しく制限されているためできるだけ早く規制緩和を実行してほしい」(木曜日に掲載)

 【記者の目/操縦者向けカリキュラム準備】
 現在、警備用などで計50台近くの同社製ロボが活躍。15年度中にも25台前後増える見通しだ。けん引しているのがリボーグ―X。人との協働機能のほか、顔認証など監視機能も強化しており評価は高い。一方、ドローンに関しては、今後の国による法制度の整備も事業の行く末を左右する。操縦免許などの議論が進む中、同社は操縦者向けの教育カリキュラムを準備するなど、来るべき新基準に備えている。
 (聞き手=藤崎竜介)
日刊工業新聞2015年07月02日 機械・ロボット・航空機面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
ALSOKはロボットを開発すると同時に、自らがユーザーでもある。産業用ロボット以外のいわゆるサービスロボットの分野では、ユーザー側の見知を持つ所が強みを持ちそうだ。

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