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中間決算で業績を上方修正したスズキ。そこに込められた意志とは

燃費問題や円高でも台数、売上高は維持。修会長は国内再建へ執念!?
中間決算で業績を上方修正したスズキ。そこに込められた意志とは

インドからの逆輸入車「バレーノ」を発表する鈴木修会長(右)と鈴木俊宏社長(今年3月)

 スズキは2017年3月期連結決算業績予想を上方修正した。好調なインド事業が業績全体を押し上げる。一方、国内は燃費測定不正の影響もあり軽自動車の販売計画を期初予想より約3万台減の53万7000台に下方修正した。国内小型車販売は目標の10万台達成を見込む。

 通期の4輪車世界生産台数は期初予想より9万台減の306万台。インドと欧州は伸長するが、日本と中国、インドネシアが下方修正。販売好調なインドでは新工場のグジャラート工場を17年1月に稼働。さらに約1000億円を投じ第2工場とエンジン・変速機工場を19年初めまでに稼働する。

 16年4―9月期連結決算は為替の影響で減収となったが、営業、経常、当期の各利益が過去最高を更新。大黒柱のインド事業では販売台数が70万5000台(前年同期比12・1%増)となり、シェアは47%に達した。

 提携協議を始めたトヨタ自動車との関係について鈴木俊宏社長は「少しずつ話し合いを進めている段階。小型車ではトヨタにはダイハツ工業があるが、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する関係になる」と話した。
日刊工業新聞2016年11月7日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
スズキが中間決算で大幅な業績の上方修正に踏み込むことは珍しい。それ程、インド業績が好調ということだろう。上方修正に、保守主義一点張りの修会長から、現実的な俊宏社長の特徴が出ているならば、いい意味でスズキも新時代。一方、不正問題や円高を受けて国内台数、売上高は大幅下方修正されてもおかしくない局面だが、こちらはほぼ据え置き。これには、国内再建に執念を燃やす、 修会長の強い意志が反映されているかもしれない。

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