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耐熱性2倍…リンテックがCNTでフォトマスク用防塵カバー開発

耐熱性2倍…リンテックがCNTでフォトマスク用防塵カバー開発

CNT製ペリクル膜のイメージ(imec提供)

リンテックは極端紫外線(EUV)露光装置向けに、フォトマスク(半導体回路の原版)の防塵カバー「ペリクル」を開発した。高い耐久性を持つカーボンナノチューブ(CNT)を使用し、ポリシリコンなどを使う従来品よりも耐熱性を2倍に高めた。約50億円を投じ、2025年度までに量産体制を築く。

ペリクルは微細パターンが描かれたフォトマスクの表面に装着する薄い保護膜で、異物の付着を防ぐことでフォトマスクの検査・交換頻度を低減する。リンテックは半導体回路パターンの微細化に対応できるEUV露光装置で、開発したペリクルの使用を想定。露光工程の生産性向上に寄与する。

同社がペリクルの素材に用いたCNTは、直径がナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの炭素材料。高温環境で使用しても化学変化や強度低下が起きにくく、厳しい環境下での利用にも適している。EUV露光プロセスではこれまでのフッ化アルゴン(ArF)液浸など旧来型の露光装置向けと異なり、ペリクルの耐熱性を高める必要があった。

日刊工業新聞 2023年12月20日

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