半導体で成長…三菱ガス化学、30年めど営業利益率10%への勝算
三菱ガス化学は2030年までに、営業利益率10%(24年3月期予想は5・5%)を視野に事業体制を強化する。同時期に売上高1兆円(24年3月期予想比19%増)、営業利益1000億円(同2・2倍)を目安とする中で、半導体材料などの事業成長を促す。24年度からの次期中期経営計画でも、成長事業に現中計と同等以上の積極投資を継続。定年延長の導入も検討し、人的資本の拡充を含む基盤強化を進める。
三菱ガス化学は24―26年度まで3カ年の次期中計についても、半導体関連などに経営資源を集中投入する考えを示している。投資総額は現中計に続き、3年間で2500億円以上を見込む。
特に半導体関連は差異化事業と捉え、半導体パッケージ用基板の材料となるビスマレイミドトリアジン(BT)材料や、過酸化水素の生産能力を増強することなどを想定。拡大を見込む半導体需要に対応する。
また、新たな成長領域として食品や医療・医薬関連を想定。各製品の営業などを統括する新組織を設けることを検討している。医療・医薬関連では抗体医薬に関する取り組みのほか、「BioPQQ」(ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩)などの機能性食品素材、脱酸素剤「エージレス」など幅広く手がける。より戦略的に展開していくことで、付加価値の向上と事業成長を目指す。
さらに人材が成長の基盤になると捉え、人的資本の拡充にも注力する。次期中計の期間中にも、従業員の定年を65歳に延長したい考えだ。働き方の選択肢を増やすことなどにより、従業員の満足度向上につなげる。
12月に開設したイノベーションセンター「MGCコモンズ」(東京都江東区)も活用する。取引先や異業種、研究機関を含む交流の場との位置付けで、新たな発想を促すなど人材育成やイノベーションの創出、情報発信を強化する。
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