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世界が注目…半導体再興へ、3D実装の最先端研究
半導体再興へー大学の最先端研究 #5
大阪大学産業科学研究所の菅沼克昭特任教授は「日本のパッケージ技術が世界を引きつけている」と話す。半導体の後工程である同技術は年々進化を遂げ、複数のチップを1パッケージに実装する「チップレット」も脚光を浴びる。その後工程に強みを持つ日本で海外メーカーが拠点化を急いでいるのだ。
阪大フレキシブル3D実装協働研究所長や、技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)3Dパッケージ技術部門長を務める菅沼教授。パワー半導体の接合技術を長年研究し、現在は先端半導体パッケージの技術開発に力を注ぐ。
微細化が極限に達するなか、チップレットによる性能向上が昨今のトレンドだ。日本は後工程における材料や製造装置に強く、さらに「日本製品の高い信頼性が自動運転や人工知能(AI)向けに優位に働く」とみる。
信頼性と並び重要なのが熱の問題。ロジック半導体を3次元(3D)に積んで3Dパッケージ化するには、熱による性能劣化の課題を克服しなければならない。LSTCなどを通じ、産学連携によって材料や構造設計を工夫し、世界標準となる3D実装を目指す。
そのためには人材が欠かせない。台湾やベルギーではトップ大学の近くに巨大企業や研究所が集積し、優秀な学生を供給している。「人が育つところに優れた企業が集まり、双方が発展していく。産業界、さらに世界とも手を結び、こうした拠点を日本にも作りたい」と構想を練る。
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日刊工業新聞 2023年12月18日
特集・連載情報
日本の半導体が再興の波に乗り、大学への期待感が強まっている。先端デバイスの研究開発は一時期、大学でも下火となった。だが、半導体分野の教育・研究を通じた人材育成や、最先端技術の開発はこれから大学の大きな使命となる。専門家はどのような未来図を描くのか。注目研究者のテクノロジー展望に迫る。