ディスクブレーキ用防錆部品にセルロース…トヨタ系部品メーカーたちが探る植物由来原料の活用法
トヨタ自動車を主要顧客とする自動車部品メーカーが、廃材の削減や植物原料を製品に応用する取り組みを始めている。林テレンプ(名古屋市中区、林貴夫社長)はトウモロコシなど由来の樹脂を内装部品に使う技術を持つほか、リサイクル技術の確立に着手。セキソー(愛知県岡崎市、山田昌也社長)や豊田鉄工(同豊田市、岩瀬次郎社長)も、自社製品に植物原料を使う検討を始めた。トヨタは取引先に年3%の二酸化炭素(CO2)排出量削減を求めており、各社は達成に向け動きだす。
林テレンプは、車の天井表皮やカーペット表皮に、トウモロコシやサトウキビ由来の樹脂繊維を3割程度添加し製品化する技術を持つ。製品は一部車両に搭載した実績もあり、顧客のニーズに合わせて対応が可能だ。ただバイオ材を使った製品はコストが課題。そこで将来のバイオ材普及拡大や廃材削減を見込み、足元では床下のカーペットを対象に、生産工程で発生する端材をリサイクルする技術の確立に着手した。
カーペットの裏に貼り合わせる不織布をはがしやすくするなど設計の見直しにも踏み込む。現状、生産工程で20%ほどの廃棄物が発生しているが、3年ほどかけて半減することを目指す。
防音・吸音材などを手がけるセキソーは、雑草から取り出した繊維素材のセルロースを、ディスクブレーキ用防錆カバー部品のアンチラストカバーに使い始めた。同部品は同社が手がける唯一の紙製品で、元々段ボールや雑紙で作っていたが、その内14%を雑草由来セルロースに置き換えた。今後は添加量を50%まで引き上げる計画。ダクトなど他の部品も樹脂から紙への置き換えを検討する。軽量化とCO2排出削減につなげたい考えだ。
車体部品などを手がける豊田鉄工は、イネ科の植物である「ソルガム」からセルロースナノファイバーを作成し、部品に活用する研究を始めた。強度や耐久性といった品質のほか、コスト低減策などを検討していく。耕作放棄地を活用してソルガムを育てて、原料の安定供給につなげる可能性も視野に、取り組みを進める方針だ。