「天空の城」が管轄、1200年の歴史持つ生野銀山
兵庫県朝来(あさご)市の生野(いくの)銀山は807年に銀が出たと伝えられ、1973年の閉山を経て現在に至るまで約1200年の歴史を持つ。日本初の官営鉱山で「金の佐渡、銀の生野」と並び称された日本有数の大鉱山。雲海に浮かぶ「天空の城」として名高い「竹田城」の城主が管轄してきた時代を経て今日に至る。
閉山の年に三菱金属(現三菱マテリアル)と生野町(現朝来市)が出資して設立したシルバー生野(兵庫県朝来市、妹尾高明社長、079・679・2010)が74年から運営する観光施設が「史跡生野銀山」だ。同施設内で75年に開館し、明治期の鉱物学者が全国各地で収集した鉱物標本などを展示してきた「生野鉱物館」を、2011年に「生野銀山文化ミュージアム」としてリニューアルオープンした。
同ミュージアムでは銀山の採鉱や採掘、選鉱、精錬までの工程のほか、国の重要文化的景観に選ばれた江戸時代の町屋などから成る鉱山町の街並みをパネル展示する。また、生野銀山で長く働いた職員が集めた鉱物のコレクション764点も展示。操業当時の暮らしぶりをビデオ上映しており、銀山の歴史を次代に語り継いでいる。
さらに松江工業高等専門学校の学生らの卒業研究として製作した、江戸時代の生野銀山と石見銀山(島根県大田市)の坑道を再現した原寸大模型も見られる。学生らが製作したロボットを使って坑道内の形状を計測して製作した模型で、実際に潜る体験もできる。リニューアル時に小中学生らも楽しめるように展示内容を工夫した。
生野銀山は07年に経済産業省の近代化産業遺産群に選ばれた。14年には生野銀山と鉱山町の文化的景観が国の重要文化的景観に選定された。
シルバー生野の妹尾社長は「(坑道内外に設置されていたマネキンのキャラクター)超スーパー地下アイドル『GINZAN BOYZ(ギンザンボーイズ)』によるツイッターなどを活用した情報発信も、引き続き行っていきたい」と意気込んでいる。
【メモ】▽開館時間=9時半―17時(月によって変わる場合あり)▽休館日=年末年始・火曜日(12月―翌年2月)▽入館料=100円(坑道内への入場は一般で900円が別途必要)▽最寄り駅=JR播但線「生野駅」、神姫グリーンバス生野銀山口下車▽住所=兵庫県朝来市生野町小野33の5▽電話番号=079・679・2010