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原子力機構など、半導体材料真空輸送ケースを開発 軽量・小型で電源不要

原子力機構など、半導体材料真空輸送ケースを開発 軽量・小型で電源不要

開発した真空トランスファーケース

日本原子力研究開発機構(原子力機構)とJ―PARCセンターは、ナノ材料や半導体材料などを真空環境で輸送する「真空トランスファーケース」について、電源が要らず軽量で小型の新製品を開発した。バッテリーの持ち込みが規制されている飛行機でも運べるため、海外への真空輸送が容易になる。新材料開発における利活用が期待される。

ナノ材料や半導体材料などは表面が酸化しやすいため、開発時にはサンプルを大気にさらさずに装置間を輸送する必要がある。その際、真空トランスファーケースを用いる。ただ、従来の真空トランスファーケースは真空ポンプや電源、バッテリーが必要なため、重くて大型という課題があった。

そこで原子力機構は、J―PARCセンターが発明した容器自体が真空を保つ性能を持つ「超高真空ゲッターポンプ」の技術を応用し、真空トランスファーケースを開発した。真空ポンプなしで超高真空を維持し、半導体材料であるシリコン基板などの表面が大気の悪影響を受けずに輸送できることを試作機で実証した。

日刊工業新聞 2024年11月14日

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原子力機構の『価値』
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